おやかたぁ……アジがゼンゼン掛からないよぉ……
この前もそんなこと言ってなかったか? まったく、やれやれだぜ。
だってぇ……。はっ! 実は親方、秘密の攻略法とか隠してない?
秘密の攻略法……というかどうかわかりませんが、大抵のプロや凄腕アジンガーは自分なりの理論から導き出した技があります。
しかし、これを公表している人は圧倒的に少ないのが現状です。
やっぱ、秘密の攻略法はあったんだ! ぜんぶみせろー!!
見せてもいいが、楽な道じゃないぜ……
では、今回はアジングの腕を上げるうえで大切な考え方をご紹介しましょう。
プロはアジングの真の攻略法を隠しているのか?
プロ、といいましたが、厳密にいえば、アジングにプロ団体はないので、ここではプロを「アジングによって収益を得ている人」という風に定義します。
さて、そういったプロは商品を購入してもらうために、その商品でどんなことができるのか? どうやったら釣れるのかを紹介するのがお仕事です。たまに「この竿でしか取れないアジがある」みたいに過剰に商品を評価している人も見かけますが、多くのプロは商品の特徴をとらえて紹介してくれるため、参考になります。
というなら「プロは釣り方の理論や極意をすべて公表し、ユーザーに釣らせることが大切なのではないか?」と思う人もいるでしょう。実際、かなり多くの理論を動画や書籍で語っている人もいます。34の家邉克己さんなんか、その典型例ですね。
しかし、人というのは言葉で語られても、目で見て覚えても現場で実践できない生き物です。
さて、ここで僕が釣り雑誌社で勤めていた時に考えた格言をお伝えします。
「百文は一釣に劣る」
「百聞は一見に如かず」を少し変化させた言葉ですが、釣り好きにはこれが痛いほどわかるはず。現場における経験以上に釣果を伸ばす最短ルートはありません。
また、釣りの書籍は「釣りを始めるまでの基礎知識」のみを解説しているため、どうしてもかなり基本的なものが多くなります。本を見て釣果を伸ばせるケースもありますが、どうしても一部に限られています。
この理由は「他社の看板を背負う以上、間違ったことは話しづらい」という問題点があるから。確実性のある情報となると、どうやってもどこのネット記事にでも紹介されているような浅い内容になってしまいます。そのプロが本当に考えている深い話題は自分の釣果以上の根拠を持たないため、語りづらいところがあるのです。
まぁ仮に語ったとしても、使える状況が限られている場合がほとんどだ。だから理屈を知ったところで活かしきれないのが関の山だろうな
……うぅ……簡単な道はないってことね
本当に隠している人もいるけど……
中には、本当に自分の理論を隠しているアジンガーも何人かいます。
じゃあ公表しろ! ……と思う方もいるかもしれませんが、それはいかがなものでしょうか?
そういった釣り人は、めちゃくちゃ長い時間釣り場に通い、研究しまくって、自分なりの「超攻略法」を確立しています。それはもう、企業秘密レベルになっても仕方ないことではないかと僕は思うのです。
う……それは確かに……で、でも……じゃあ、初心者は我慢して釣り場に行けってこと?
確かに、それも少しかわいそうとは思います。ではここで「タヌキ流 アジング上達術」をご紹介しましょう。
タヌキ流 アジング上達術は「ストーリーを描くこと」
僕が考えたアジング上達術は、ずばり「ストーリーを描くこと」です。もともと小説を書いていたりシナリオライターしていたりするので、我ながらタヌキらしい攻略法だなと思います……。
さて、ストーリーを描くとはどういうことかというと、アジがワームを捕食するまでのプロセスをイメージして考えてみましょうということ。
ではわかりやすいようにキャストからランディングまでのプロセスを「起承転結」で分けてみましょう。
起:どこにキャストするか?
承:どうやってヒットゾーンにアプローチするか?
転:どうやって食わせるか?
結:どうやって陸に上げるか
このうち結末は二種類のみです。そのままブッコ抜くか、ランディングネットで安全に確保するか。
なので問題となるのは「起・承・転」の三つ。釣れないということは、この三つのうちどれかが悪いということか、単純に運が悪く、たまたま食わなかったかのどっちかです。
では、具体例を三つ紹介しましょう。
パターン1 流されてくるベイトを意識してみよう
まず、アジングで最もベーシックな食い方である、流れているベイトをアジが捕食するパターンです。
この場合の起承転結は以下のようになります。
起:上流側にキャスト
承:緩みすぎないように気を付けながらカーブフォールさせる
転:ゆっくりフォールしたワームをベイトに見せて食わせる
結:アジを取り込む
このパターンでアジを釣ったことがある人は多いでしょう。多くのアジング入門で紹介されているリフト&フォールで食ってくるパターンですね。
ポイントは、上流側にキャストしてカーブフォール時にアジに違和感を与えないこと。違和感を残してしまうと口を使わない可能性を高めるわけですからそりゃ釣れません。
また、アジのベイトを意識することも重要です。すべてのベイトに応用できるこのパターンですが、プランクトンとベイトフィッシュでは遊泳力が違うため流され方も当然違います。
ベイトパターンにあわせるために、どのジグヘッドを使うのが有効か。どうやってロッドを操作することが適切かよく考えてみましょう。
パターン2 リアクションバイトでデイゲーム攻略!
デイゲーム攻略で重要になってくるのは、リアクションバイトです。
……リアクションバイトって……なんだっけ?
魚の食性……ようするに空腹度とは関係なく、本能を利用して口を食わせる方法だ。
デイゲームということは、本来アジの食事時であるマズメや夜のタイミングではないわけですから、普通に投げるだけではあまり食ってきません。
そこで利用するのがリアクションバイト。リアクションで食わせれば、アジの食事時でなくても反射的に口を使わせることができます。
この場合の起承転結はこのようになります。
起:障害物など、アジが潜んでいそうな場所を通るようにコースを考えてキャスト
承:大きめに動かして、リアクションバイトを誘う
転:アジがいそうなエリアではやや食わせの間を長く持たせたり、動きに変化を入れてより口を使うようにアピール
結:アジを取り込む
リアクションで誘うときは、より多くランガンして、食い気のあるアジを見つけるようにするといいぜ。
また、ワームをリブが少ないタイプにするとワームの動きが早くなるから、よりリアクションバイトさせやすくなる。
パターン3 あえて流れの先にキャストすることで、さらにスローフォールでアピール
ここでタヌキが好んで使う攻略法をご紹介します。
使えるタイミングは「表層から中層で食ってくる」こと、「ある程度以上の流れがある」こと。そして「ある一定以上の活性がある場合」です。
起:下流側に投げる
承:かなり長めにフォールさせる
転:フォール中はロッドを固定、状況によってはラインを送り込むように下げる
結:アジを取り込む
この方法の利点は、まず圧倒的なアタリの取りやすさ。ワームが流される分、常に引っ張られているような状況になるため、常にアタリが取れるラインテンションになってくれます。僕はこのやり方だけで爆風の豆アジングで10連続ヒットを決めています。
そして、ワームが常に流されているということは、サスペンド気味にフォールするから、かなりスローにフォールしてくれます。
サスペンド? ……うーん、どういうこと?
沈まず、浮かずその場にとどまっている状態だな。旗がはためいているような状態を想像するとわかりやすいかもしれねぇな。
さらに、常に流されているような状態になるため、通常より強めの波動を演出することができることも利点です。
弱点は、ルアーを動かす動作が違和感につながりやすいということ。特にプランクトンパターンの場合は流れを遡るわけだから、とてつもない違和感になるでしょう。なので、リフト直後はまず食いません。
また、ジグヘッドが重すぎると、カーブフォールによって流れをのぼるスピードも速くなるため、軽めのものを使います。ワームもリブが深いものを使うといいでしょう。
まとめ 結局自分なりの攻略法が大切
最後に僕のよく使う攻略法を紹介しましたが、結局それも経験がものを言います。僕自身も完璧かどうかといわれると、そうでもありませんし。
大事なのは「どうしてアジが口を使うか」をよく考えること。こうした理論が確立すれば、あなたなりのアジがワームを食べるまでの自分なりのストーリーを組み立てることができるでしょう。
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