釣りは楽しいからするもので、昔は「釣り楽しいよ!」と発信するだけで初心者が集まったものです。
アジングも基本はそう。実際アジを食べたいだけなら漁師さんに任せた方が労働力はかからないし、釣果だけ見ればアジングよりはサビキの方が初心者はとっつきやすいし、ルアーのように動きを考える必要もありません。
なのにアジングをする理由はやっぱり楽しいからです。理由は人それぞれでしょうが、やはりルアーフィッシングならではのゲーム性、奥深さが要因でしょう。
しかし、釣具業界はだんだんそうも言ってられない事態に直面していることは声を大にして言わなくてはいけません。僕自身も本格的に釣りを始めたのは割と最近で釣りという趣味に少し距離を置いていた一人でもあります。もちろん今はアジングを始めてよかったって思いますがね。
今回は釣り具業界が抱える、初心者がとっつきにくいと思わせる理由を解説していきます。
マナー問題は初心者も遠ざける
初心者がとっつきにくいと感じる理由一つ目はマナー問題があげられます。
どんな趣味にもバカは確実にいます。これは鉄道、アイドル、釣りだけに限らず、野球、映画、音楽なども挙げられます。じゃなきゃ球場の観客席にあれだけゴミが放置されるはずがありません。
違いがあるとすれば、野球や映画はゴミを捨ててくれる人がいることでしょうか? そのためマナー違反に目立った報道はなく、しいて言えば映画泥棒が365日踊り狂ってることくらいでしょうか?
しかし、釣りに至ってはそうはいきません。ポイ捨てをすればずっと残ります。最悪魚や鳥がゴミを誤飲し取り返しがつかないことになるのです。
特に近年はアジングブームもあるのか、よくワームや細いラインのゴミを見かけます。決して我々も例外とは言えないのです。
マナーをお話した下の記事でもお話した通り、本来堤防は釣り人の物でもみんな物でもありません。所有者が定められている土地です。マナー違反が指摘されれば釣り場が閉鎖されるのは自明の理でしょう。
また人は、バカと同列に語られることを嫌います。実際オタクが長年迫害の対象になっている理由は、2008年に起きた秋葉原の通り魔事件などが挙げられます。バカなら叩いても問題ないという意識がどうしても人間には存在するのです。
釣り人もその例外とは言えず、日本で釣りを全面禁止、または規制すべきという声は多く、釣りのマナー問題が挙げられるごとに強い言葉で非難されるのは皆さんも感じているかもしれません。
「俺はそんな声は無視できるぜ」と思う人もいるでしょうが、初心者はそうではありません。釣りデビューしたいものの「釣り人と思われてマナーも守れないバカと同列にされるのもなぁ」という意識は確実に存在します。
マナー違反は釣りの未来も潰してしまう行為なのです。
アジングも他人事ではない? 外来魚問題
外来魚問題と言えば、ブラックバスと言ってもいいほど、有名な話です。アジンガーにはまったく関係ない話に見えますが、実は結構問題です。なぜなら一般の人からすればバザーと釣り人は同じようなもんですから。
いくら外来魚問題がバザーの責任であり、アジンガーには関係ないと言っても、イメージというのはそう簡単に払しょくできるものではありません。特に現在よく言われている「釣りのライセンスを導入すべき」という話は、もはや避けられない議論かもしれないと僕も思っています。そうなればますます初心者にはとっつきづらい趣味になってしまいますが。
釣りライセンスについては、その理由の多くがバザーのマナーや違法放流が原因ですが、前述した通りアジンガーにもマナーを守れないバカがいる以上、ライセンスが導入された場合、アジンガーもその被害を受けるのはまず間違いないでしょう。
また現在の釣り業界を支えている大きな要因はやっぱりバス釣りです。全盛期より減ったと言っても売り上げの割合でいえばまだ多くを占めています。そんなバス釣りが全面禁止、もしくはライセンスによる大型規制となると、釣具店の多くが閉店に追い込まれ、メーカーが潰れたりするなど、アジング業界にも決して少なくない影響を及ぼす可能性があります。
外来魚問題は、ぜひ他人事と思わず同じ釣り人の一人として考えていただければと思います。
もちろん、その結論が「外来魚は一匹のこらず駆逐すべき」となるのか「完全駆除は不可能。共存すべき」となるか「むしろ駆除はすべきではない。電気ショックなどで在来種が死亡する可能性の方がはるかに危険」という考えに至るかは個人の自由です。
まずは自分の考えを持つこと。他人事と思わず、真剣に一度考えること。それが一番大事だと思います。
ちなみに、僕の考えは「外来魚駆除はあくまで人間のエゴであり、駆除をしたいなら必ず経過観察をして実績を出すことが人間としての最低限の責務である」と考えています。要するに駆除してもいいけど、責任は持てよってことです。
ライフジャケットの着用を呼び掛けている理由は命を守りたい……だけじゃない
本来ライフジャケットの着用は船釣り以外は義務ではありません。釣り人の自己判断で付けるものです。
しかし、ライフジャケット未着用による死亡事故が起きた場合、問われるのは釣り人遡行やライジャケ未着用だけはなく「そもそも、そこで釣りをすることが適切なのかどうか」という事も挙げられます。
年1~2回死者が出ている堤防だとしても、釣り人全体でいえばかなりの数の人が来ており、確率でいえばそんなに大したことはないようにも見えます。統計すれば道路の方が事故率が高いかもしれません。さらに落水や落雷など、ライフジャケット未着用でも気をつければ防げる事故が大半です。
それでも多くのメディアがライフジャケットの着用を訴えるのは、死者が一人でも増えれば簡単に釣り場が閉鎖されて減ってしまうからです。
しかし、ライフジャケットは決して安いものではありません。Amazonでかなり安いものが発売されているものの、数千円あれば、そこそこいい料理も食べれますし、ワームもたくさん買えます。さらに安全を考えるのなら信頼のあるメーカーを選びたいものですし、その場合価格もさらに上昇します。
物価高の現在、初心者にライフジャケットに割く金があるのかと言えばそうでもないでしょう。スネ夫は例外ですが。
まだ釣れるのかもよくわからない初心者にライフジャケットにお金を裂いてくださいというのは、少し現実的とは言えません。しかし、業界としてはライフジャケットの着用をお願いするしかないのです。
教え方が下手? 釣り業界にいては、なかなか言えなかった闇とは
釣りメディアにいた私が言うのもなんですが、どうしても釣り業界は教え方が下手な人が多いように感じます。
もちろん例外はいます。実際僕が参考にしているいくつかの釣りメディアやYoutuberは教え方が上手です。ただ、「初心者向け」と言いながら専門用語を羅列するメディアのなんと多いことか。
僕が下の記事で番手を気にしなくていいと言ったのもこれが理由です。初心者にとってはft、inも専門用語であり、とっつきづらい言葉です。
ただ、仕方ない一面もあるのです。実際初心者といっても「ルアーはやったことのある初心者」と「竿を触ったことのある初心者」では教え方も全然違いますから。大半の釣りメディアでのアジング紹介はどうしても「竿を持ったことのある初心者向け」であることが多く、同時に初心者にとってはとっつきづらい原因になっているのです。
もし竿も持ったことがないなら、どっちかといえばサビキを教えたがるのが釣りメディアです。まぁ実際初心者が釣果を得やすいのがサビキだから仕方ないのですが。
まず専門用語を理解して、初めてアジングの初心者向け記事が理解できる。そのような状態を払拭したいと思って立ち上げたのがこの「アジンガーのたまりば」というわけです。
まとめ 他人事にしない。思いやりが自分の趣味を救う
今回なぜ、このような記事を出したかと言えば、どうしても釣りは初心者のハードルが高く、このままでは釣り人への風当たりも強くなる一方だと感じたからです。
コロナ過で釣り人の人口はある程度増えたはずですが、それも一時的なものです。事実近年は減少傾向にあります。
釣り具が売れなければアジングも発展しませんし、道具も作られなくなります。ちょっとしたことで釣りが老後も続けられる趣味になるならそれが一番でしょう。
個人の我々ににできることは、やっぱりマナーを守ることです。まずは、マナー違反をみんなで減らしていきましょう。それだけでも、釣りが発展していくきっかけになるはずです。
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