実は今、釣り具業界が大きく動いています。
いい意味でも悪い意味でも「歴史の転換点というレベル」といっても過言ではありません。
なんと、現在ナイロンラインが大きく注目され、逆にフロロカーボンラインが消滅する可能性があるのです。
アジングでもリーダーとしてフロロカーボンラインを使う人が多いし、ベイトアジングではフロロカーボンが注目され始めたばかりでした。なので多大な影響を受けるでしょうし。もちろん他の釣りも例外なく影響を受けます。
今回はこの変化について解説していきましょう。
ナイロンラインに生分解性の発見される
まずはナイロンラインの変化からお話しましょう。
東京大学と九州大学を中心とする研究チームが、市販のナイロン製釣り糸の一部が海洋で生分解することを発見しました。これは、従来「非生分解性」とされていたナイロンに関する常識を覆す成果であり、海洋プラスチック問題への新たな解決策として注目されています。
研究チームは、ナイロン6とナイロン6,6の共重合体からなる市販の釣り糸の中に、海洋中で生分解性ポリマーの標準物質であるセルロースと同程度の生分解性を示すものが存在することを明らかにしました。この発見は、ナイロンを非生分解性ポリマーとして扱ってきた従来の認識を覆すものです。
この研究は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のムーンショット型研究開発事業の一環として、東京大学、九州大学、長岡技術科学大学、愛媛大学、化学物質評価研究機構(CERI)などの共同研究チームによって進められました。2023年度からは、愛媛県愛南町で海洋分解性に関するフィールド試験を実施し、実際の海洋環境下での釣り糸の分解挙動を観察しました。
その結果、特定の共重合比率を持つナイロン製釣り糸が、海水中で顕著な生分解性を示すことが確認されました。

環境にいいのはうれしいね

今後釣り人のマナーとしてナイロンラインが推奨される可能性もあるな。

そうなった場合は、当サイトとしては当然ナイロンラインを推奨していきますが……ただ、いろんなラインを選ぶ楽しさが減るのは少し寂しいですね

ただし生分解されるっつっても、だからってポイ捨てしていいわけじゃないからな。そもそも海にラインを捨てないことが大事だ
フロロカーボンラインへの規制の可能性
一方で、フロロカーボンラインの主成分であるPFAS(有機フッ素化合物)に対する規制が、欧州や米国を中心に強化されつつあります。

アメリカとかだけじゃん! なら日本関係ないじゃん
そんなわけありません。欧州、米国で規制が始まれば、日本も追随する可能性は大きいですし、そもそも規制されなくても買えなくなる可能性すらあるのです。
というのもPFASは環境中で分解されにくく、人体や生態系への影響が懸念されており、欧州化学品庁(ECHA)は2023年3月にPFASの使用制限案を公開しているのです。この制限案が正式に採択されると、欧州においてPFASを含む製品の使用が禁止される可能性があり、環境問題の観点から確実に日本も影響を受けます。
また、米国でも一部の州がPFASを含む製品の販売を禁止する動きを見せており、2025年1月からカリフォルニア州やニューヨーク州での禁止が予定されています。
さらに、PFASの主要製造企業である3Mは、2025年末までにPFASの製造を中止することを発表しました。これにより、フロロカーボンラインの供給が不安定になり、価格の高騰や品薄が予想されています。
釣り業界への影響と今後の展望
フロロカーボンラインの規制強化と供給不安により、釣り業界は代替素材の開発と導入を迫られています。
ナイロンラインの生分解性が確認されたことは、環境に優しい代替品としての可能性を示しています。今後、ナイロンの共重合比率や製造方法を調整することで、生分解性と性能を両立させた釣り糸の開発が進むことでしょう。
釣り愛好者や業界関係者は、環境への配慮と規制への対応を考慮し、使用する釣り糸の選択や新素材の導入に積極的に取り組む必要があります。また、メーカーや研究機関は、持続可能な釣り具の開発を進めることで、環境保護と産業の発展を両立させることが求められています。
このように、ナイロン製釣り糸の生分解性の発見とPFAS規制の動向は、釣り業界に大きな影響を与える可能性があります。今後の研究と技術開発により、環境に優しい釣り具の普及が進むことが期待されます。
アジングの影響は?
では仮にフロロカーボンが規制されたとして、アジングへの影響はどの程度のものでしょう?
確実なのはリーダーの変化。現在は感度と比重の観点からフロロカーボンを愛用している人が多く、事実僕もフロロカーボンラインを使っています。
しかし、それがナイロンになるわけです。ナイロンは現状アジングでは不人気に入るラインですが、実はそんなに相性が悪いわけではありません。
伸びるからハリ掛かりがよく、オートマチックにフッキングしてくれるし、比重もフロロよりは軽いから、水中の動きも若干変わります。
またナイロンは劣化しやすいという弱点があるのですが、そういう観点からショートリーダー派が多くなる可能性はありますね。どうせすぐ切るから、ロングリーダーだともったいないですしね。
まとめ 環境変化に対応してこその釣り人
いかがでしたか?
釣りはそもそもさまざまな海の環境変化に対応して仕掛けを変える遊びです。そう考えると、この変化も一つの環境変化と言えます。ならば、いっそそれを楽しむのも面白いと思います。
今後どのようになるかは不明ですが、どう変化しても楽しめるよう心構えをしておきましょう。
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