
コラァ! ホラ吹きタヌキィ! アジングの上手い人の動画をみていたら、海洋学、生物学的な観点からみるとプランクトンパターンは嘘だって言ってたよ!
お、美穂にしては勉強熱心ですね。確かにそうですよ。その二つの観点からするとプランクトンパターンというのは嘘といっても大袈裟ではないでしょう。
しかし、同時に僕は基本的にアジングに関しては「プランクトンパターン」と呼ぶべきと考えています。その理由について解説していきます。

あ、今回は複雑な内容を含む上、最終結論がプランクトンパターン否定派、肯定派ともにこの話は不毛だという話になります。それでも興味があるなら、この先を読んでください

ちなみに僕自身も今回いろんなツールで再勉強し、知らなかったことやどこぞの潰れた雑誌社の嘘のせいで僕自身勘違いしていたところもありました……。(そのせいでいくつかの記事を修正しました)そのくらい難しいポイントが多いですが、できる限りわかりやすく解説していきます。
「プランクトンパターン」って本当にあるの?
SNSや釣り動画でよく聞く“プランクトンパターン”。しかしその正体は曖昧なまま、賛否が分かれています。この理由はなんなのでしょうか?
僕が思うに、否定派は生物学的な観点から、肯定派は釣り人の視点からみているだけで、どちらも間違いではないというのが僕の結論です。なのでこの議論は不毛といいたいわけです。
さて、肯定派の意見は多くのメーカー話されていることなので、この記事を見てるような人なら語るまでもないでしょう。なので今回は、まずは否定派の意見から見てみましょう
否定派の主張は「釣れるようなアジはプランクトンだけを捕食しない」
そもそも論ですが、アジは成長ごとに魚食性が上がるだけであり、基本的には雑食です。
サイズがどのくらいだろうが食べられるなら小魚も食べるし甲殻類も食べるし、もちろんプランクトンも食べる。植物性のものはあまり食べませんが……野菜嫌いなんですかね?
そういう意味では、アジングにそもそもベイトパターンなんてものはありません。

ないの!? じゃあなんでパターンなんて呼び方があるのさ!

ルアーフィッシングのルーツによるものだな。特にソルト系ルアーはシーバス釣りの影響をある程度受けている。シーバスは偏食性の高い魚だからパターン差が顕著に現れるんだ。
今回の話はアジの食性は偏食性の高い魚じゃないから、20cm前後だからってプランクトンだけを捕食してるってのは嘘だって話だな

ただし、親方の話はあくまでパターンのルーツのお話。アジのサイズやフィールドの状況によって、ある程度はベイトに合わせることはアジングでも非常に重要なことですので、悪しからず
ちなみに、アジがよく捕食するプランクトンはカイアシ類オキアミ類などなどいくつかの種類があります。
カイアシ類については小さすぎて本当に稚魚クラスの小さいサイズのアジくらいしか食べないのですが、成魚のアジが捕食するエサがカイアシ類を食べるので、結果食物連鎖につながると言われています。
僕らがいつも狙っているアジのサイズに限定すれば、エサはツノナシオキアミやゴカイなどのプランクトン。もしくはアキアミや稚魚などの、学術的にはプランクトンではないものも含まれているわけです。
なので、プランクトンパターンがないというよりは、「YOUは本当にプランクトンを食べてるの?」という学術的には疑問が残るといった方が正確なのです。だって別にプランクトンじゃなくても食べちゃうし。
プランクトンパターンの真実は釣り人視点だから

じゃあ、プランクトンパターンとか言ってる釣りメーカーみんな嘘つきってことじゃん!

それは誤解だ。……まぁ勘違いされても仕方ないところではあるんだがな
各釣具メーカーの意見をまとめることは難しいので、ここからは僕の主観から「おそらく、こういうことなんじゃないか?」という見解を述べさせていただきます。
その理由は、釣具メーカーのほとんどのルーツが、ウキ釣り。特にフカセ釣りにあるからだと思います。
ということでフカセ釣り出身の彩夏さん。アジをフカセ釣りで狙いたいのですが、エサは何がいいでしょう?

そりゃもちろんオキアミ……あれ?
そう。まず真っ先に出てくるのがオキアミです。オキアミとは正式名称ナンキョクオキアミのこと。見た目は完全にエビですが、そもそもエビの仲間ですらなくプランクトンなんです。
アジがオキアミをみて、プランクトンかどうかを鑑定しているわけがないので、おそらくエビだと思って食べてるんでしょう。そもそもナンキョクオキアミはその名の通り日本にいませんしね。
ちなみにオキアミによく似た釣り餌だと、先ほども出てきましたアミエビやアキアミ。
アミエビはツノナシオキアミの別名ですのでプランクトン。しかしアキアミについてはサクラエビの一種ですのでエビの仲間であり、プランクトンではありません。

へー! おもしろー!
いずれもサビキ釣りやカゴ釣り、フカセ釣りの撒き餌などにも使われる、ポピュラーな釣り餌です。
つまり「釣り餌」という視点で見れば、プランクトン一択といえるし、生物学的な観点で見れば完全なプランクトンパターンは存在しないといえるわけです。
タヌキの見解 本質は「アクションパターンのわかりやすさ」
先ほど説明した通り、プランクトンパターンは“完全な嘘”でも“絶対の真実”でもありません。
結局は「生物学的視点から見るか」「釣り人視点で見るか」の違いでしかないのです。

でもルアーは実際のエサに見せるわけだから、生物学的視点で語るほうが正確なんじゃないの?
僕も最初はそう思いました。けれども「誰にもわかりやすくアジングを解説し広める」ということを考えるようになってからは、僕はプランクトンパターンと呼ぶべきだと思いました。
事実、アジングの場合で一番釣れるのは、プランクトンパターンで釣れるとされるリフト&フォール。
そして釣り人の中ではプランクトンパターンでイメージが定着している以上、下手に新用語を作ってしまっては混乱を生む原因となってしまいます。

確かに、ぶっちゃけ今までの話半分くらいしかわかんなかった!

半分どころか全然わかんない! ってかもうほとんど忘れた!

おまえらな……

でもわかんなくても、プランクトンパターンならアクションがイメージしやすいですね
そう。実際ベイトフィッシュならただ巻きなどの直線的な動きというのはわかると思いますし、プランクトンならなるべく動かない漂うような動き、もしくはエビのような動きなんじゃないかと、ふわっと伝わるはず。
つまりはプランクトンパターン、ベイトフィッシュパターンというのは釣り方をイメージしやすいから使われる用語とも言えるでしょう。
ただ、実際にアジがどういうエサだと思ってルアーを捕食しているかは、アクションの仕方と完全に紐づけられるものではありません。フォールの釣りでも小魚と思って食っている可能性もありますしね。んなもんアジに聞かないとわかりゃしねぇよ。

うぅ〜だんだんややこしくなってきたぁ

だろ? だから釣具メーカーからすれば、最初からたくさん詰め込み過ぎない、プランクトンパターン、ベイトフィッシュパターンとだけ解説した方が初心者にも優しいのさ

それに、そもそも初心者の段階から「プランクトンを本当に捕食しているのか?」なんて疑問を抱くわけありません。それなら上級者が納得できる表現よりも、ビギナーがわかりやすい表現で解説した方がいい。というわけで、僕はプランクトンパターンと解説することを指示しているわけです。

まぁ、一方で完全に勘違いしたテスターや雑誌社がいるのも事実だがな……。

そうなんですよね……実際に僕が雑誌社の頃に先輩から聞いた話が、調べると完全にホラだったくらいですから……。「プランクトンは遊泳力がない」という記述に「いやある!」って言い出して……いや多少はあるけど微々たるものだし、そもそもオメェらの書いた記事をコピーしただけなのになんで僕が文句言われなきゃならんのだ……そもそも植物性プランクトンが光合成で増殖して活性が上がるとかいってたけど調べたら完全なホラじゃねぇか! マジでどっから出たんだそのワード! 当時新人だから割と信じてたおかげで、記事いくつか修正することになったんだぞこのやろー!

た、タヌキも苦労してんだね
まとめ 自分の海で検証してこそ真実が見える
いかがでしたか?
結局は他人の理論より、自分の海の観察が一番の答えです。そういう意味ではこの記事も、所詮一つの見解に過ぎません。
光、潮、ベイト──すべての要素を見て考察し、予測し、実証するという“海のリズム”を読むことが、アジングの醍醐味と言えるでしょう。


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