年々必要性が拡大しているライフジャケット。昔はしつこく言われなかったものの、今では「釣りをするならライフジャケットにお金を一番掛けるべし」とまで言われる時代。
他の記事でも語ってますが、基本的に僕はライフジャケット必須論は無駄に初心者への金銭的ハードルを上げかねないと思っており、必携というのは言い過ぎというスタンスです。
ただ、ライフジャケット未着用時の死亡率は着用時と比べて3倍とまで言われていますし、ライフジャケット未着用は釣り場の閉鎖も招く可能性があるため、やはり付けないよりは圧倒的につけて欲しい。たとえ安い商品でも。
そこで、今回はライフジャケットの選び方を解説していきます。
ライフジャケットを付けていても危険があることは忘れずに
そもそもライフジャケットはなぜ釣りで必要なのでしょうか?「落ちないように気を付ければいいだけ」と言われれば、まぁその通り。そもそも堤防はライフジャケットを付けていたとしても落水したら危険な場所なのです。
堤防ってそんなに危険なの? 波もそんなに強くないし危険に見えないんだけど
と、思っちゃう人はドラマやアニメの見過ぎ。あるいは海を舐めすぎです。
子供の頃、流れるプールに行ったことがある人は思い出してほしいのですが、あれ、結構流されますよね? 状況によっては耐えられないくらいにはあります。当然海はそれ以上の速さで流れるわけで、人間なんて簡単に流されます。
でも、海の遠泳とかも昔はあったって聞くよ? つまり泳げないほどではないってことじゃないの?
そりゃ海で泳ぐために普段から鍛えている場合、且つ水着を着用している状況なら可能です。着衣水泳は服が水を吸収してしまうため、鍛えていたとしても危険です。
海に入る前に下着になる露出狂なら、あるいは行けるかもしれませんが、それでもまだ助かるための大きなハードルがあります。
それは、陸に上がる際の打ち返す流れ。基本的に海は沖から岸に向かって流れますが、いわゆる足際は流れが反転するわけですから、ある程度沖に向かっての流れが発生しやすくなります。また、岸に向かう流れが都合よく表層で発生していたとしても、今度は堤防に体を叩きつけられる可能性があります。
そんな体力を消耗しきった中、吸水してめちゃくちゃ重たくなった服を着込んで、堤防の断崖絶壁を登るわけです。そりゃハシゴがあったとしてもキツイはずです。
また落水した場合は、間違ってもテトラ帯や岩場に向かって泳がないように。何度も岩やテトラに体を打つけることになってしまう可能性が高く、非常に危険です。
落水時はどうすればいいの?
ライフジャケットを付けていても危険なら、もし落ちたときはどうすればいいの?
これはライフジャケットがきちんと膨らんだという前提でお話しますが、まずは何もしない。泳いでも無駄に体力を使うだけなので、できる限り何もせず、浮遊しておくことが大切です。
そして、次に大切なのが、他の人に気付いてもらう事。決して自分一人で助かろうと思わないこと。うまく岸近くの登れそうな場所にたどりついたとしても、ぬめりで再び落水。体力を消耗してしまう可能性が高いです。
なので、どうにか周りに気付いてもらうことが最優先事項です。ヘッドライトがあるならつけておくことも有効でしょう。ホイッスルがあるならなおよし。
もし周りに人がいなければ?
とにかく慌てず待つことが大事です。下手に岸を登ろうとして怪我をし、出血してしまえば死亡リスクはかなり高まってしまいます。また、ライフジャケットも堤防についた貝などで破れてしまったら本末転倒。
よっぽどの過疎地でない限りは船は定期的に何かしら通ってますので、それらに気付いてもらいましょう。
ライフジャケットの必要性
ライフジャケットがあってもその状態なら、もはやライフジャケットの意味がないのでは?
と、思ってしまいがちですが、前述した通り、ライフジャケット未着用時の死亡率は約3倍に上ります。
特に、ライフジャケットがない状態で落ちた場合は、浮かび上がることにすら体力を奪われますので、時間との勝負になってしまいます。そうなれば当然焦りも生まれ正常な判断ができなくなり、テトラなどの危険地帯に近づきそのまま亡くなるパターンが非常に多いです。
仮に船が近くを通ったとしても、ライフジャケットを付けていない人と付けている人では視認性が違います。人は割と地味な配色を好みますから、気付いたとしても人だと思わないことが結構多いのです。距離が遠いと「あ、ナブラだ!」と勘違いする人もいるかもしれませんね。その場合エサは人間なわけですが……。
その点、ライフジャケットは視認性の高い高い黄色やオレンジ、ゲームベストでも反射板などがついているため、発見される確率を大きく上げてくれます。そんな理由から死亡率が大きく軽減されるというわけです。
よく船に備え付けられている救命胴衣がオレンジの配色をしているのも、海での視認性を高めるためだ。ウキ釣りのウキの色がオレンジなのも同じ理由だぜ
ライフジャケットの種類とおすすめ商品
ライフジャケットと一口に言っても結構種類があります。大きく分けると固定式と膨張式です。それぞれの特徴をみていきましょう。
固定式
固定式でみんなが知っているものといえば、やはり救命胴衣でしょう。船には必ず常備されてますし、派手なビビットカラーのオレンジは目立ちますから。
仕組みはご存知の方も多いでしょうが、一言でいえばビート板です。
ただ、救命胴衣で釣りをするというのは……まぁ安全面でいえばパーフェクトなのですが、ちょっと気恥ずかしいものがあります。
そのため、釣りで使うものは黄色や青などある程度はオシャレな配色になってます。
また子供向けのライフジャケットの場合は大抵これです。子供だと体が小さい上に暴れるため、ちゃんと固定できるものでなければすっぽ抜ける可能性があるためです。
ゲームベスト(フローティングベスト)
釣りで使われる固定式ライフジャケットの多くは、ゲームベスト、あるいはフローティングベストと呼ばれています。
どんなものかと言えば、磯釣りのおっちゃんがつけてるポケットがいっぱいついたあれです。
俺がいっつもつけてるイカした黄色の服も、フローティングベストだな
……イカした?
え、え?! か、カッコいいよなぁ!? ……なぁ!?
……親方のセンスが昭和止まりなのは置いておき、ゲームベストの良さはポケットが多く、小道具がたくさん収納できること。ジグヘッドを思いついた瞬間サッと取り出して交換できるのはかなり優秀です。
また、磯との相性がいい……いや、むしろ磯ではゲームベストが必須級です。というのも、膨張式は磯場だと岩場に引っ掛けて、膨らむ部分が破ける危険性があるからです。固定式だと破れても浮かんでくれるので、磯の必須アイテム。
さらに磯は足元はかなり悪いので、場所によってはタックルボックスを足元に起きづらい場合もあります。なので、手元でリグ交換を完結できるゲームベストはかなり便利です。
膨張式
一方膨張式は紐を引っ張る、あるいは水の中に入ることで風船のように膨らんでくれるというシステムです。
アジングで人気なのは膨張式です。固定式より、体の動きを妨げにくく、軽量で動きやすいことが利点です。
手動式と自動膨張式
膨張式は大きく手動式と自動膨張式に分かれます。
安全面を考慮するなら断然自動膨張式をおすすめします。
というのも、落水時に意識がない場合があるからです。たとえば、急病で意識を失って落水した場合。意識がないのですから、当然ヒモなんて引けません。ただでさえ病気ですぐにでも病院に行かなければならないのに、溺れるなんてことになれば生死は絶望的でしょう。
ただ、自動式にも弱点はあります。比較的お値段が高いことと、波を被った際に誤作動で膨らむケースがあることです。
まぁ、とりあえず間に合わせで手動式を買うのも悪くない。安いものなら3000円代で手に入る。ちゃんとしたタイプは金銭的に余裕がある時に買えばいい。
肩掛け式
タオルのように首にかけておくタイプのライフジャケットです。
このタイプの最大の利点は安全性。膨張式でも体は重たいのでそれなりに沈み込むんですが、その際、頭が沈んでしまう可能性があるのです。
んと……あんまりよくイメージできないんだけど
他のタイプ、つまり腰に巻くタイプは背中側から前に向かってUの字で膨らむだろ? しかし背中側に浮力が集中すると……
わかった!お尻が上がって洗濯物のタオルみたいな体制になるんでしょ
そういうこった。まぁちゃんと意識して重心をコントロールすればそうそうそんなことにならないが、意識がない場合、稀にそう言った問題が起きる。
それらをカバーしやすいのが肩掛け式。ベルトでしっかり固定される点もありがたい所ですね。
肩掛け式の弱点は、固定式ほどではないにせよ、それなりにサイズが大きいこと。また多少とはいえ肩に重みが伝わるので、それを嫌う人もいますね。
私はオシャレじゃないから別のにしたよー
……本当はこんな選び方してほしくないんだがな
腰巻き式
そんな楓が使ってるライフジャケットは腰巻き式と呼ばれてるタイプ。アジングだとこのタイプを使っている人をよくみますね。
上半身に動きを妨げるものが何もないため、めちゃくちゃ動きやすいことが利点ですね。アジングはランガンが基本ですし、軽量で収納スペースも取らないのがいいです。
デメリットは肩掛け式でお話ししたとおり、安全面ではどうしても劣ること。あと、調子にのってプライヤーやフィッシュグリップ付けまくるとズリ下がってくることですね。そういう意味では肩掛け式の方が保持力あります。
ウエストポーチ式
ウエストポーチ式は腰巻き式をさらにコンパクトにしたモデルです。
とにかくコンパクトなのでバックに入れててもほとんど気にならない。ちょい釣り目的で会社のバックに入れてる人もいますね。
安全性についてはお察しの通り。ただ、このタイプでも十分な浮力は持っています。自転車、バイク派の人には必見のアイテムですね。
ちっちゃくてかわいい! アタシこれにしよーかなー?
可愛さで選ぶもんじゃねぇだろ……
腰巻き式 ウエストポーチ式は上着の上に着用すること!
腰巻き式、ウエストポーチ式を使ってる人をみてると結構間違った付け方をしてる人がいます。
それは上着の下にライフジャケットを隠すように着用している人。これ、ほとんど意味ありません。というのも緊急時に膨張する際に、上着が邪魔をして上手く膨らまないのです。
なので、腰より少し上で上着を挟むように着用しましょう。タヌキ腹でどうしてもズリ下がる人は腹につけておくのもありです。
あー。だからタヌキはいつもお腹にライフジャケットつけてるのかー
やれやれ。ダイエットしないからそうなるんだ
やーい。ぽんぽこタヌキ〜
……ぐすん。
船釣りを楽しみたい人は桜マーク付きのタイプAが必須
昨今は船でもアジングが大人気。ただし、船となるとライフジャケットは着用が義務付けられており、さらにどれでもいいというわけでもありません。
有名なのが桜マーク。これは品質保証の意味合いをもち、船釣りではこれが第一条件。
さらに船釣りの遊漁船のほとんどがTYPE-Aであることが条件となっています。
どれを選んだらいいか迷ったら、桜マークよりTYPE-Aの表記を探すといいぜ。さらにシマノやダイワ、タカミヤのような安心できるメーカーで選ぶといいだろうな。
あとライフジャケットで有名どころで言えばブルーストームでしょうね。
お気に入りの釣具メーカーがあれば、メーカー直営のネット通販で購入するのもありです。大抵安心できるメーカーのOEM(生産と販売が違う販売手法のこと)なので、表記さえ確認できたら問題なく使えるでしょう。
釣具は結構隠れOEMが多いな。一応伏せてるのに見た目どう考えてもメイホウだろってやつとかな。ガイドとかほとんど富士工業だしな
ライフジャケットもメーカー名変えただけで実は中身一緒ってこともあるかもねー。……なんか闇が隠れてそうで、あんまりツッコミたくないけど
……ま、まぁ、そのかわり品質は保証できるってことですし、闇ばっかりじゃないですよ。
まとめ 自分にあったライフジャケットを選んでみよう
いかがでしたか?
ライフジャケット選びは結構個性がでます。オシャレ重視だったりコスパ重視だったり、もちろん安全性も大きなポイントです。
自分の釣りスタイルにあったライフジャケットを見つけて見ましょう!
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