重いルアーはベイトリール。軽いルアーはスピニングリール。そんなことを言われていた時代も今は昔。
今は技術が進歩し、アジングのような1gアンダーでもベイトリールが使える時代。……これタヌキのようなアラフォー世代でも驚愕の出来事なのです。
では、ベイトアジングの利点とデメリットをメインにお話していきましょう。
ベイトリールでアジングのリグを投げられるの?
そもそもおっちゃん世代からしたら、ベイトリールでアジングのジグ単を投げられること自体が懐疑的になるでしょう。
それもそのはずで、数年前はベイトリールと言えば重たいルアーを投げるか、超絶パワーを持つ怪物とのファイトするために力負けしないように使うものでした。
ところが、バス釣りマニアは「ベイトリールで軽量ルアーを使いたい!」と思うようになり、ベイトフィネスというジャンルが確立。その後企業努力によりルアーフィッシングでは最軽量クラスのアジングにも対応するようになったわけです。
最近の機種だと1gアンダーを投げてもバックラッシュしないってのもある。大したもんだな
ベイトアジングの利点
感度がいい
ベイトアジング最大の利点といっていいのは、パーミングの特性上、感度がよくなること。
魚のアタリは、仕掛けを咥えたあと、リーダー、ライン、ガイドを通り穂先を曲げながらリール、リールフット、ロッドの順番で手元に伝わります。
ただ、多くの道具を伝言ゲームのようにリレーする結果、衝撃が手元に伝わる前に消えてしまう可能性も増えるわけです。
そういった問題を防ぐために、スプールから出ているラインを触ってわずかなアタリを感知するテクニックがあるのですが、スピニングだと構造上どうやってもベールが邪魔になりがち。
しかし、ベイトはパーミングという持ち方を使います。そのため、指を常にスプールに置いてアクションやフォールをさせることができるのです。
クラッチを切れば簡単にラインを出せて、微調整も可能
アジングをしている時に、たまに発生するのがラインを送りたいシーン。「ショートバイトだったけど、ここでライン送ってフォールさせたらもう一回食いつくかも?」という状況などですね。
そんな時、ベイトリールだとワンクリックでラインを解放でき、フリーフォールさせることができます。
でも、スピニングでもベールを返すだけでできるじゃない。利点というには薄すぎない?
そう。それだけだったらさしたる違いではありません。地味に楽ってだけです。
ここで注目して欲しいのは、ベイトリールとスピニングリールのフリーフォール時の特性です。
ご存知の通りスピニングリールとベイトリールではスプールの方向が違います。その結果、スピニングの場合ライン解放時にスプール一巻きずつ出ていきますが、ベイトならスプールを回転させた分ラインがでていくかの違いが発生します。
それって具体的にはどういう違いがあるの?
例えば、スピニングの場合スプール半回転分のラインを出したいと思っても物理的にできません。それに対してベイトは親指で出したい量を調整すればいいだけなので、直感的に放出量を調整することができるのです。
また、ベイトリールはクラッチを切ってる状態だと仕掛けの重さで引っ張ってもらいスプールを回転させる構造のため、ある程度は張った状態でラインが出ていくというのも特徴です。そのため、フリーフォール時でもアタリに気づくことがあります。
キャストコントロールがピカイチ
そもそもバスアングラーはなんでベイトリールを使いたがるのか? 理由の一旦としてはクラッチを切る「カチッ」がかっこいいからというやや厨二入りかけな理論もありますが、理屈的なところではキャストコントロールをつけやすいという理由があります。
タックルで一番重たい部分と言えば、当然ギア部分です。そのためスピニングだと下方向に引っ張られる力が発生します。
ただし、ベイトタックルの場合、比較的手元に近い場所に一番重いギア部分がきます。そのためコントロールがつけやすくなります。
わかりやすい例えをするなら、オモリの入ったリストバンドをつけながらダーツを投げるのと、袋に同じ重量のオモリを入れた状態で手首に巻き、その状態でダーツを投げるような感覚でしょうか?
うーん。まぁその二つなら確かにリストバンドつけながらダーツ投げる方がマシな気がする
まぁこれも例えが難しいんだが、理屈で言えば重心は手元に近い方がコントロールをつけやすいってこったな。
それにスピニングでもある程度コントロールはつけられるため、アジングでは大きな差ではないって意見もあるぜ
そうですね。他にもサミングでの微調整がしやすく、距離のコントロールをつけられるなどのメリットがあります。フィールドが狭い時には便利ですね。
巻き上げ力が高い
これはアジングというより別の釣りのメリットですが、ベイトリールは巻き上げ力が高いのも大きなメリットです。
この理由はリールのギアの役割が違うことにあり、スピニングがハンドルの回転方向を変えてベールの回転へと変換するのに対して、ベイトの場合は回転量とトルクを調整するウインチの役割をしているから。
これによって、大物釣りでは無類の強さを発揮します。
うーん。でもアジングだと小さすぎてあまり有用なメリットでもなさそうだね。
まぁな。ただ、ゲストがきた場合のやり取りはある程度楽になるはずだぜ。
ベイトアジングのデメリット
バックラッシュが多い
ベイトリール最大のデメリットはバックラッシュが多いこと。スピニングにもバックラッシュがないわけではありませんが、ベイトのバックラッシュはまったく別の理由で発生します。
その理由はスプールとライン放出量のギャップによるもの。
この例えで用いられやすいのが、トイレットペーパーの例でしょう。ほら、子供がイタズラでトイレットペーパーを一気に出してしまい、お母さんから愛のゲンコツを食うことってたまに聞きますよね?
……
かえかえ? どーしたの? 頭をさすってるけど……まさか……
こ、子供の頃の話だからっ! 幼稚園の頃だし、む、無効でしょ!?
はい。かえかえの幼き頃の罪が暴かれたところで本題に戻すと、トイレットペーパーを思いっきり引っ張ると勢いで、リールで言う所のスプール部分に逆巻きのような感じで巻き込まれてしまいますよね?
あれがベイトリールのバックラッシュの原因です。トイレットペーパーは紙ですからそれ以上絡まることはありませんが、ラインは糸なので絡まるわけです。
バックラッシュの解き方はいくつかありますが、うまく解けない場合は、ラインを大量に切らないといけないことになってしまいます。
近年のベイトリールはかなり進化していて、ジグ単でもブレーキ調整をしっかりすればノーサミングでもバックラッシュしないぜ。……ただし、それだと飛距離が伸びないため、結局はサミングに慣れる必要が出てくるんだがな
慣れるまでが大変
バックラッシュ回避法も含めてそうですが、ベイトリールは慣れが必要です。
同じオーバーヘッドでも投げ方に微妙な違いが発生しますし、ある程度の技術も必要なため、初心者向けとは言えないといったタックルになります。
ベイトリール、左で巻くか? 右で巻くか?
タックル購入前にも初心者に立ち塞がる壁があります。それは、右巻き左巻き問題。
スピニングの場合は後から変更できるモデルが大半ですが、ベイトリールは変更不可。しかも右巻き左巻きは結構昔から論争が絶えず、どちらがいいかとも言いづらい状況が続いているのです。
僕個人の意見としては、ベイトリール入門ならキャストしやすい右巻き推奨。ただしベイトリールにある程度慣れてるならロッドアクションを右手でできる左巻きがおすすめです。(利き手が左の場合は逆です)
費用がお高い
新しい技術は古今東西お値段がするもの。
ベイトアジングタックルも、近年生まれただけに、まだまだお高いのが現状です。
ベイトアジング専門のエントリーロッドもクリアブルーからでていますが、まだ1万円台には至らず、ブームの火付にはちょっとまだ高めというのが現状です。(それでも近年の世情を考えると十分お安いんですがね)
やや強引に安くベイトアジングができるタックルを揃える方法もないわけではありませんが、正直そこまで無理にベイトアジングをするメリットもないでしょう。
飛距離が出ない
ベイトアジング最後の問題点は、どうしても飛距離ではスピニングに負けるということ。
飛ばしている間ラインが完全フリーになるスピニングに対して、ベイトはルアーが飛ぶ勢いでスプールを回転させます。さらに数々のブレーキシステムによって、スプールを回転させる力にある程度の抵抗がかかります。
元々ベイトリールが重たいルアーに有効とされてたのは、この軽いルアーとの相性に悪さにもあります。
まぁ今ではかなり改善されてスピニング並に飛ぶという感想も聞くようになりましたが、物理的な障壁がある以上、飛距離では越えられない壁となりそうですね。
まとめ ベイトアジングは釣り業界を変えるか?
いかがでしたか?
僕は趣味を楽しむなら弱点もしっかり把握した上でおすすめしたいと思っています。なので包み隠さず、ベイトの弱点もお話しました。
しかし、これらの多くは今後の技術発展によって解決する可能性を秘めており、さらには釣り人自身の技術によって解決できることも多いです。
もしかしたら、今後釣具業界の常識が一変し、アジングと言えばベイトリールという時代もくるかもしれません。そう考えると注目せざるを得ませんね!
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