アジングにおけるラインは細めと相場が決まっています。それを表すかのようにこれでもかと激細ラインをこぞって使っているアジンガーのなんと多いことか。
しかし「なぜ細くするのか」を知ってる人はあまり多くありません。「アドバイスされたから」「検索して出てきたから」という理由ならまだいいのですが、結構勘違いも多いのが現状です。
そこで今回は、なぜアジングのラインを細くするのか。それを一緒に考えてみましょう。
太さの基準は号数とポンド数
……ところでラインの太さってどこ見ればいいの?
ラインの太さを表す単位は号数、もしくはポンド表記となります。
……ん? ポンドって重さの単位じゃなかったっけ?
その通り! ポンドは本来重さの単位です。要するに「このラインが耐えられる強度はざっくりこのくらいですよー」というのを表しているわけです。
ご存知の通り本来太さを表す単位は、長さの単位。ですがラインの太さを図ろうにも、製造過程の許容誤差や糸潰れなど、正確にどのくらいの太さを測るのは困難です。何よりミリ単位で書かれたら細かすぎて釣り人にとっても地味に分かりづらいです。
なので原糸の太さがざっくりどのくらいの強度かを示して、それを基準にしているのです。
一般社団法人 日本釣用品工業会(JAFTMA)が、原糸の太さがざっくりどのくらいの強度かで太さ規格を設定し、各メーカーはそれに合わせてパッケージにポンド表記をするわけです。
ナイロン、フロロ、エステルの原糸の太さと強度は大体同じとされているため、太さの規格は同じものが使用されています。
厳密にいえばメーカー努力によって若干強度が変わることがあり、全部同じ強度とはいいがたいのだが、太さという意味では「誤差はあるがほぼ同じと」考えていいぜ
でもさ。PEはナイロンやエステルより強度が高いよね? そうなるとポンドだと太さの単位使えなくない?
その通り。なので、PEにはポンド表記がありません。PEの太さの基準は日本の場合は号数で表記され、海外ではデニール(長さ9,000m あたりの糸の質量をグラム単位をもって表したもの)という単位で表記されます。
号数で比べるとPEは、その他のラインと似たような太さにはなるのですが、微妙な誤差がありますし、そもそも撚糸だからどこから測ればいいかわかんねぇし、図ってたら潰しちゃってしまうこともあるしクッソめんどくせぇので、あくまでPEは他のラインとは別枠として考えた方がいいでしょう。
ナイロン・フロロカーボン・エステルの太さ度量換算表
号数 | 強度(lb) | 標準直径(mm) |
---|---|---|
0.1 | 0.4 | 0.053 |
0.15 | 0.6 | 0.064 |
0.2 | 0.8 | 0.074 |
0.25 | 1 | 0.083 |
0.3 | 1.2 | 0.09 |
0.35 | 1.4 | 0.097 |
0.4 | 1.6 | 0.104 |
0.5 | 2 | 0.117 |
0.6 | 2.4 | 0.128 |
0.8 | 3 | 0.148 |
1 | 4 | 0.165 |
1.2 | 4.8 | 0.185 |
1.5 | 6 | 0.205 |
1.75 | 7 | 0.22 |
2 | 8 | 0.235 |
2.25 | 9 | 0.248 |
2.5 | 10 | 0.26 |
2.75 | 11 | 0.274 |
3 | 12 | 0.285 |
3.5 | 14 | 0.31 |
4 | 16 | 0.33 |
5 | 20 | 0.37 |
6 | 22 | 0.405 |
7 | 25 | 0.435 |
8 | 28 | 0.47 |
10 | 35 | 0.52 |
12 | 40 | 0.57 |
14 | 45 | 0.62 |
16 | 50 | 0.66 |
18 | 55 | 0.7 |
20 | 60 | 0.74 |
PEラインの太さ度量換算表
号数 | デニール(d) | 強度(lb) | 標準直径(mm) |
---|---|---|---|
0.1 | 20 | 4 | 0.054 |
0.15 | 30 | 4.5 | 0.066 |
0.2 | 40 | 5 | 0.076 |
0.25 | 50 | 5.5 | 0.085 |
0.3 | 60 | 6 | 0.094 |
0.35 | 70 | 7 | 0.101 |
0.4 | 80 | 8 | 0.108 |
0.45 | 90 | 9 | 0.115 |
0.5 | 100 | 10 | 0.121 |
0.6 | 120 | 12 | 0.132 |
0.7 | 140 | 14 | 0.143 |
0.8 | 160 | 16 | 0.153 |
1 | 200 | 20 | 0.171 |
1.2 | 240 | 24 | 0.191 |
1.5 | 300 | 30 | 0.209 |
1.7 | 340 | 34 | 0.219 |
2 | 400 | 40 | 0.242 |
2.5 | 500 | 50 | 0.270 |
3 | 600 | 55 | 0.296 |
4 | 800 | 60 | 0.342 |
5 | 1000 | 80 | 0.382 |
6 | 1200 | 90 | 0.418 |
ひいぃ〜ゼロがいっぱいだよぉ……そりゃ実寸で書くとわかりづらいよね
しかも実際には微妙な誤差が生じるし、コーティングの影響もあるから絶対値ってわけでもないだろうしね
しかもPEの号数はデニールが基準となっている。だから太さはあくまで計算上の参考値と思っていいだろうぜ
ラインを細くする理由は飛距離と流されにくさにあり
ラインを太くする理由は言うまでもなく強度。これは言わずもがな。
問題は細くしたい理由ですが、これは主に飛距離と風や潮に流されやすいかどうかの理由が大きいです。
まず、ラインを太くすると飛距離が落ちる理由ですが、これは太くすることでキャスト時ルアーが引っ張り出すラインの重さが変わるため。その重さが抵抗となって飛距離が落ちるわけです。
特にアジングの場合は軽量なリグを使いますので、飛距離を出したいなら少しでも抵抗を減らしたいもの。そんな理由から、ラインを細くしたいというわけです
もう一つの理由は、太くすると風や潮に流されやすくなるというもの。これは太くすると風や潮の影響を受ける側面積が大きくなるため、流されやすくなるという理屈です。
無論これらの理由はかなり微妙な差ですし、案外太くしても飛ぶし「潮に流されすぎてアタリがとれないー!」なんてこともありません。実際僕も最初の頃は0.4号PEでジグ単1gアンダー使ってましたし。
ただ、その微妙な差が気になるなら、やはり細くするべきなのでしょう。
魚が見えないから細くするは間違い?
よく「ラインを細くするのは、魚から見えないようにするためだよー」という人がいますが、これは最近では結構否定する意見が多いです。
無論「0.0001%も違いはないのか!?」と言われると否定しきることはできないのですが、よくよく考えてみれば、アジングラインよりべらぼうに太いサビキラインや、チヌ用ラインでも、エサさえあればお構いなく食ってくるのです。一番太いアジングラインでも大体0.4号程度。普通に考えて見えるから釣れないというのは考えにくいでしょう。
さらに、エステルやPEについてはリーダーを使うため、それこそ太くても関係ありません。ショートリーダーであっても、ラインを見られてスレる可能性は、ほぼ皆無と思っていいでしょう。
じゃあ、リーダーは太くしたりしても問題ないの?
問題ない。……んだが、リーダーとメインラインの相性もあるし、結局結束強度の観点から0.8号前後を使う必要がある。
また、リーダーの色を気にする人もいるな。基本的には透明度が高い方が発見されずらいと言われるが、光の屈折で光ってしまう弱点もあるため、あえて魚から見えずらいピンクに染めているものもある
また個人的な意見ですが、異常なほどの太さとなると、絶対に発見されないというのも違うかもしれません。例えば、シーバス用のラインとリーダーでアジングをするような異常事態なら違和感となるかもしれません。
まぁそんなライン使う奴はいないだろ……と思う奴もいるかもしれないが、実際にいたらしいしな。シーバスタックルのまま無理矢理アジングする奴
飛距離が悪くなることや、潮に流されやすくなることも考えると弱点多いだろうね
まぁ、シーバスラインでも100%釣れないとまでは言えませんが、やっぱりアジングは専用タックルで楽しむ方がいいでしょう。
どのラインを使うかによって太さを切り替えよう
細くする理由はわかったけどさ。実際どのくらいの太さを使えばいいの?
確かに、初めてアジングをする人にとっては、ラインの太さなんて未知の領域です。何号を使えばいいかなんてわからないかもしれません。
では、今回は各ライン、どのくらいの太さがおすすめか。僕なりの理由をお話しましょう。
ナイロン、フロロは0.8号が目安
まず、ナイロンラインとフロロカーボンラインは0.8号がおすすめです。
アジングラインにしては太めですが、初めのうちは根掛かりも多くなりますし、ライントラブルの可能性も考えると、このくらいがいいでしょう。
それに0.8号という太さでピンときた人もいるかもしれませんが、エステルやPEに変えた後も、予備のリーダーとして使えるところもポイントです。
エステルは太めの0.3号あたりが主流?
エステルの場合は、どうしても、引っ張った時に伸びない粘りの弱さが目立ちます。特にPEと比べると強度には雲泥の差があります。
リーダーがあると言っても、あくまで一時的なショックを和らげてくれるだけであり、過信はできません。
いくらエステルの比重がちょうどいいからと言っても、ブチブチ切れていては海を汚すだけの困ったちゃんです。
その為、エステルは少し太めの0.3号あたりが人気です。
PEは細くしたい
一方PEラインは、細くするのが主流です。それこそ0.1号以下のラインも使われます。
そもそも強度がありますし、比重が小さく風や潮に流されやすいデメリットもあるため、そういった弱点を補うという点でも細くすべきです。
太いPEは遠投リグで使え
……と、言ったものの、実は僕が使用しているPEライン(厳密にいえばTheONEアジングなのでPFですが)は、実は0.4号です。
理由は、遠投リグを想定したセッティングにしているため。遠投リグの場合、かっ飛ばした時の高切れなどを防ぐ目的もあるため、太めのPEラインがおすすめです。
風や潮に流されないかという弱点も、そもそも重たいリグを前提としたセッティングなら問題ないですしね。
それに案外ジグ単でも使えたりします。まぁ流されますけどね。
まとめ ラインを制するものはアジングを制す
いかがでしたか?
アジングはライン選びに個性が生まれる、比較的珍しい釣りです。大抵の釣りは「PE一択」とか「ナイロンラインしか勝たん」とか言われる中、ここまでライン別にいろんな意見が出る釣りはそうそうありません。
それだけに、アジングを真に制するには、ラインセッティングにこだわる必要があるのかもしれませんね。
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