ほぼすべてのアジンガーの前に立ちはだかる最初の壁。アタリがとにかく取りづらい問題。
他の釣りでもアタリがとりづらいケースはもちろんありますが、アジングは特にその傾向が顕著に表れています。
では、どんな初心者でもアタリが取れるような魔法のような方法があるとしたらどうでしょう? 今回はアタリの取れない初心者におすすめな「聞きアワセ」と「どうしてアジングはアタリが取りづらいのか」「アタリのメカニズム」を開設していきます。
どのようにアタリは伝わるのか? メカニズムを考えてみよう
そもそも、魚のアタリはどうやって我々に届くのでしょうか?
ジグヘッドのハリは、上アゴを貫通させやすいよう常に上を向くように作られています。そのためアジがハリまで捕食すると、まず針先が上アゴに当たります。この瞬間は、どんなにハリが鋭くても完全に貫通することはありません。針先の数ミリが刺さる程度です。この状態を初期掛かりといいます。
初期掛かりが発生すると、上の図のようにジグヘッドはわずかに動きます。このわずかな動きがアタリです。
この、アタリは、ジグヘッドからリーダー、ライン、穂先、ガイド、リール、リールシートの順番で伝わり、最終的に我々アジンガーの手元までやってきます。これがアタリが手元に来るまでのプロセスです。
アタリが発生してから、アワセを入れるまで
初期掛かりのあとに、魚がニセモノのエサだとわかると、すぐに吐き出そうとします。
あ、それ雑誌で見た事ある! 確かアジがワームを食べて吐き出すまでの時間が0.2秒ってやつでしょ?
うーん。厳密にいえばちょっと違います。
みなさんは魚の骨が歯茎に刺さったとき、すぐに吐き出せますか? まぁ、大半はそう素早く吐き出すことはできないでしょう。なぜなら刺さってますからね。口の中に手を入れて見えない小骨を見つけて指でつまむ。そりゃ面倒です。
手先を起用に扱える人間が難しいのですから、アジはもっと難しいはずです。
なので実際には「アジがエサでないとわかってから、吐き出そうとするまでの時間が0.2秒」となります。なので、大抵吐き出そうともがいたり、暴れたりします。こうやって暴れた結果、さらに深く刺さったり、吐き出そうとモタモタしている間に釣り人側がアワセを入れてしまうわけです。
ただし、人生そうそう、うまくいくわけではありません。0.2秒で外れなくても、1~2秒となると話は別で、当然時間が経つごとに外れる可能性は高くなっていくわけです。
仮にうまく外れなくても、暴れているうちに上アゴから口横などの裂けやすい場所に掛かってしまうこともあるわけです。上アゴに刺さると、そうそう簡単には外れないため、確実な釣果につながりますが、口横などの柔らかい場所に刺さってしまうと、けっこうな確率でバラシてしまいます。
なのでアワセを入れないといけない理由は「吐き出されるまでの時間が0.2秒だから」というより、「少しでも上アゴに掛かる確率を高めるため」と考えていいでしょう。
逆にいやぁ、アワセがうまくいかなかったからって、あまり深刻に考えなくてもいいってこった。最初に吐き出そうとした瞬間にすんなり外れるケースもあるわけで、0.2秒なんて人間の反射神経じゃ無理な話だ
アワセがいらない? ホントのところどうなの?
そういえば、釣り雑誌見たら「アジングはアワセがいらない」って書いてた……結局どっちなの?
確かに、アワセがいらないという意見を持つアジンガーは多いです。その理由は、先ほど出てきた初期掛かりの重要性と、ワームを吐き出そうとする時間を加味した場合、「0.2秒じゃ人間業じゃ無理だろ」ということで「だったら初期掛かりを重要視しましょう」という考え方からきています。
確かに、この意見もごもっとも。少なくとも、アワセの練習するよりは、ジグヘッドの刺さりを管理する方が圧倒的に重要です。
ただ、釣りは徹底した確率論の遊びです。なので1%でも上アゴに刺さる可能性を高めるなら、フッキングも大切ではあると、僕は考えています。
アジングの難所 どうしてほかの釣りよりアタリが取りづらい?
エサ釣りの場合
エサ釣りの場合、大半はアタリをウキで見るものです。胴付き仕掛けのサビキなどの例外はありますが、アタリのわかりやすさは、かなりはっきりしています。
また本物のエサは当然ワームよりうまい。アジは簡単にエサを放しません。そういう意味でも、アタリのわかりやすさは別格です。
でもさ。サビキ釣りはコマセを使うとはいえ、疑似餌みたいなもんだよね?
そうですね。ただしウキ釣りをはじめとしたエサ釣りのメインラインは、ほぼナイロンラインとなります。少なくともアジ狙いならナイロン一択といっていいでしょう。
というのも、ナイロンラインは伸びるから。この特性から、アジが引っ張るとその弾性によってハリが自動的に掛かってくれるのです。
サビキの場合は、こっちの利点が大きく、さらにハリの細さも相まって大体何もしなくてもハリに掛かってしまうのです。
ただ、アジングの場合はアタリ感度とラインの沈みやすさを鑑みて、エステルやPEを使うことが多いです。ナイロンでもアタリが取れないというほどであありませんが、アジングをより楽しみたいなら、やっぱりエステルやPEでしょう。
ルアー釣りの場合
だったらさ。他のルアー釣りはどうなの?
まず、ハードルアーをメインに使うシーバス、青物、フラットフィッシュの場合は、ほとんどが巻きアワセとなります。
要するにアタリがあったらリールを巻くときの力でアワセるため、アジングほどシビアではありません。そのあとのフッキングはどちらかというと、追いアワセ(アワセをした後、しっかり口に掛けるためにもう一度フッキングをすること)に近いため、アジングほどシビアなアワセが求められるわけでもありません。
同じライトゲームのメバリングの場合は、メバルが「捕食した後、底に潜る」という習性があるため、大体向こうアワセとなります。
ちょっと複雑なのが、ブラックバスやチニング。どちらも使うルアーの種類が多いですからね。アワセ難易度は高めですが、アジングほど小さく繊細なアタリを取る必要がありません。
こういった問題が重なり、結果的にアジングのアワセの難しさにつながっているのが現状です。実際、別の釣りをメインとしている人が、アタリを取る練習でアジングもするというケースもあるようです。
アタリがわからないなら魚に聞け! 聞きアワセとは?
うーん。そんなに難しいなら、私にはアジングは無理なのかなぁ?
ところが、どんな初心者でも簡単にアタリを感じることのできる方法があるのです。
そう、アタリがわからないならアジにアタリを聞いてみればいいんです。
は? ば、バカじゃないの? アジと会話しろってこと?
無論、アジと会話ができる超能力者的なお話ではありません。「聞きアワセ」というテクニックがあるのです。
アタリに至るまでのプロセスを思い出していただきたいのですが、あれだけ微細な変化となりますので、当然ラインが張っている状態であればあるほどアタリがわかりやすくなるわけです。
だったら、「ゆっくりロッドを立ててラインを確実に張ればアタリがわかりやすくなるじゃん」というのが、聞きアワセというわけです。
具体的には、リフト&フォールのフォール中に、上げてるか上げてないかわからないくらいのスピードで、ゆーっくりとロッドを上げるだけ。実際にやってみると超簡単です。
さらに、フォールスピードを遅めにしたいときなどに使うのも有効です。
聞きアワセの弱点
ロッドを立てるだけなんて超簡単じゃん!
ん~……でもさ、アジングの動画で見てると、あんまりやってる人いないような気がするんだよね
確かに。特にテスターさんとかになるとあまりやらないですね。
というのも、聞きアワセには弱点もあるため。
例えば、フォールスピードがどうしても遅くなりすぎてしまいがちなこと。そのため、タナを外したり、アジの活性によっては食いが悪くなる可能性があるのです。
また、聞きアワセはどうしても手前側に引っ張ってしまうため、どうしてもヒットゾーンで長く停滞させたいときは、使いづらいケースがあるのです。
そ、そっか。じゃあ聞きアワセは初心者用ってことなのかな?
そうでもない。あくまでアタリを得やすいテクニックの一つであり、プロでも多様する人が多い強力な技だ。ただ、よりどんなコンディションでも釣れるようになるには、テンションを張らず、緩めず……いわゆるゼロテンションでアタリを拾えるようになるのがいいってわけだな
まとめ アワセのメカニズムを考えれば、アジングはもっと面白くなる!
いかがでしたか?
「アジングは掛ける釣り方が楽しい!」という意見もあります。アワセがどうやったらうまくいくのか研究していくと、釣果も上がりますし、アジングの楽しさをより味わえるはずです。
なかなかアタリを感じられないという人は、ぜひ聞きアワセを試してみてはいかがでしょうか?
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