最近Xでの意見を見ていると、面白い意見がありました。
それは「常夜灯の下で集魚灯を足すとさらに魚が集まるのではないか?」というもの。

天才か!? それならアジがわんさか集まって爆釣間違いなし!?

待て待て。そう考えるのは早計だ。
確かに常夜灯+集魚灯は一見すると効果があるように見えますが、必ずしもそうはならないのです。
ではその理由を解説するために、そもそもなぜ光に魚が集まるのかを、海洋生物学の研究と実際の釣りの視点から掘り下げ、最後に集魚灯との合わせ技について考えてみましょう。
常夜灯に魚が集まる仕組み
そもそも夜の魚はなぜ光に寄せられるのでしょう? 飲んだくれたサラリーマンが二件目探してるわけじゃあるまいし。
その理由を知るためのカギは、食物連鎖にあります。
その1 植物性プランクトンが光合成のために浮き、それを捕食する微生物が集まる
まず植物プランクトンが光に反応して浮いてきます。
そうすると、それを捕食するための動物性プランクトンを含めた微生物が集まるわけです。

プランクトン、とりわけ植物性プランクトンは遊泳力がないことも重要だ。

また「動物性プランクトンの遊泳力もほとんどないんだから集まるというのは間違いだ」という指摘もあると思いますが、その辺の話を始めると長くなっちゃいますので、今回は小魚が食べる微生物全般をプランクトンということにさせていただきますね
その2 プランクトンを食べる小魚が寄る
エビなどの甲殻類や小サバ、カタクチイワシなどが光の中層に集まりプランクトンを捕食します。
アジのアベレージサイズが小型のエリアでは、この段階からアジングで狙えるわけです。
その3 小魚を狙って捕食魚が寄る
大型のアジ、メバル、カマス、シーバスなどがその小魚を追ってやってきます。

食物連鎖というものですね。小学生の頃を思い出します

小学生の頃……? わすれちった

やれやれ……
そもそも論 マアジも光に集まる習性がある
とまぁ、ここまでが一般的な釣り場における常夜灯下が釣れる理由ですが、実はマアジの場合はそれにくわえて走光性が強い魚であることも大事な要素です。
これは1989年にマアジを使った実験も行われており、確かな成果が出ています。
また、プランクトン云々はそもそも関係なく、走光性という習性が常夜灯が釣れるとされる理由なのではないかという意見もあります。
ただしアジは虫とかと違い、強すぎる光は避けるそうです。

眩しいのかな?

隠キャだから目立ちたくないのかも

目立つと食べられちゃいそうだからってのもあるかもですね
プランクトンは“増えている”わけではない
誤解されがちなのが「光でプランクトンが増える」という考え方。実際は、増えるのではなく、浮き上がり、周囲にいるプランクトンが寄ってくるだけです。
海中のプランクトン総量は原則一定です。光を焚くと周囲数十メートルの範囲から密度が偏るだけです。
つまり、集魚効果の本質は「光による密度の偏り」なんです。

光合成によりプランクトンが増殖するという人もいます。確かに増殖スピードは我々人間からすれば信じられないくらいのスピードで増えますが、食物連鎖が劇的に変わるほどのものではなく、それよりも浮いてくるプランクトンの方が常夜灯効果を大きく変化させると言われています。

つまり、常夜灯はあくまでプランクトンを寄せる一因でしかない。しかも泳ぐという概念がない植物性プランクトンは、基本流れに身を任せるしかないわけだから、必然的に流れなどの影響も受ける。

常夜灯だけじゃなくて、いろんな要素を複合的に考えてアジのいる位置を考えることが大切なんだね!
科学的にも裏付けあり
近年の海洋研究では、光の強さ(照度)や色(波長)によって、海洋生物の反応が変わることが分かっています。
明るさについては大体5〜10lxがいいそうです。
ただ集魚灯は光源なので単位は照度(ルクス)ではなく光束(ルーメン)で表されます。

ルクスとかルーメンってなに?

簡単にいやぁ、ルクスが照らされた面の明るさ。ルーメンが光源の光の量を表す。集魚灯は光源なわけだから、単位はルーメンってわけだ
集魚灯の明るさは、足場の高さにもよって効果が変わりますが、大体500〜1000lmほどあるといいでしょう。
また白や青の強光は避けられやすく、緑や赤系は比較的安定するというデータもあります。

照らさないよりはマシだから、白色の集魚灯でもいいが、できれば緑の光の方がいいだろうな。
常夜灯+集魚灯はどうなる?
さて、ここまでお話しすれば、常夜灯+集魚灯が効果があるかどうか予測できるんじゃないでしょうか?
つまりは常夜灯と集魚灯を合わせた結果、明るくなりすぎる可能性が高く逆効果になりかねないのです。ただし、常夜灯と集魚灯の明るさを足した結果ちょうどいいくらいの明るさなら、効果が出る可能性があります。
また、そもそも海中のプランクトンは明るさに関係なく一定です。なので、明るくなったからと言っていきなり増えたり活性が高くなるわけではありません。
それどころか、下手に照らして照射範囲が広くなると、活性が高くなる範囲が大きくなりすぎて魚が散らばってしまう恐れもあります。最悪アジが届かない位置に来てしまうことも……。

元々常夜灯で照らされた範囲が暗い場合は、集魚灯を使って効果があるかもってこと?

そうだ。そもそも常夜灯は魚を集めるためにあるわけじゃねーからな。照らしている範囲の明るさが足りない場合は、集魚灯の意味が出てくる。

また、魚の多くは明暗の境目でエサを待ち構えるので、その習性を積極的に利用するといいでしょう
まとめ 光をうまく使って効率よく狙おう!
いかがでしたか?
今回は少し難し目のお話になってしまいましたが大丈夫でしたか?
「光=魚を呼ぶ魔法」と思われがちですが、実際には「魚を呼ぶ整理術」に近い存在です。
光を上手く使えば海中のプランクトン・小魚・アジたちの配置が変わり、釣りやすい状況を作り出すことができます。
次のアジングでは、ぜひ“光の使い方”を意識してみてください。


コメント