ちょっと! タヌキィ! 釣り雑誌が嘘だらけってYoutuberが言ってたんだけどホント!? だったらタヌキも元釣り雑誌の会社にいたから嘘つきってこと!?
そうですね……一応前置きをしておくと、釣り雑誌社は嘘つきというわけではありません。同時にそう思うのも無理はないというのが現状でしょう。この辺マジで難しいところなんですよね。
ただ、だからって「釣り雑誌の記事は信用できないマスゴミだ!」と断ずるのは極論ですし、参考にすべき資料であることは間違いないのです。言ってること自体は基本的には正しいのですから。
では、なぜ釣り雑誌が嘘だらけといわれてしまうのか。そのからくり。そして正しく読むためにおすすめしたい「ポジティブリーディング」についてお話しようと思います。
釣り雑誌の言ってることは嘘だらけ?
いまいちいってる意味が分からないんだけど、釣り雑誌社の言ってることは本当ではあるんだよね?
そうですね。基本的には雑誌社の言ってることは正しいんです。ただ、同時に正しく読まないと誤った情報を受け取りがちでもあるのです。
まず、なぜ正しいのかというと、基本的に雑誌社の場合、ブログやYoutuberみたいに単独で意見をまとめることがないから精度が高くなるためです。
たとえば僕は「アジングはショートロッドの需要が増えている」という意見を持っています。事実多くのアジングメーカーではショートロッドの数が増えています。
ただし、これを釣り雑誌社でこの事実を落とし込むのはちょっと難しい。なぜならショートロッドにも弱点があり、現在のアジングロッドの中央値はあくまで6ft前後というのも事実だからです。
正しい二つの意見がある場合、読者を混乱させないように長年正しいとされる意見が結論として優先されることが多いのです。だから記事は意見が古いとかいろいろ言われてるんですがね。
ただし、古かろうが何だろうが、多数決を取れば確実に6ft前後理論が勝つに決まってます。つまり、間違いではなくなるわけです。
そのかわりありきたりな意見や平均的な話ばかりになり、どの記事を読んでも似たような印象を受けてしまうんだよな
嘘だらけに見える理由は?
でもさ。それだけなら「嘘だらけー」みたいな話にならなくない?
確かにそうです。当然他にも嘘だらけに見える理由があるのです。
例えば、字数制限によって生まれる誤解。ブログや動画は、いくらでも文章入れれるからいいのですが、雑誌の場合1ページあたりの文字数が限られているから情報が端的になりやすく、誤解が生まれやすいのです。
でもそれを何とかするのが雑誌社の役目じゃない?
それをいわれると耳が痛いところですが、物理的に文字数が制限される以上、どうしようもないケースが存在するのです。
また、企業のネット記事も基本的に文字制限が課せられます。これは企業であるため一番効率的にPVが稼げる文字数でないと、そもそも読者がつかずに読んでくれないためです。ブログやYoutubeだとファンになってくれると、ある程度の長文は普通に読んでくれますが、企業のネット記事だとそうもいかないんですよね。
言葉数が少ないじーさんが勘違いされやすいのと一緒だな。同時にしゃべりすぎるじじいも嫌悪されがち。その辺のあんばいが難しく、結局嘘扱いされることが多いってわけだ。
さらに「ショートロッドが主流!」というYoutuberが現れた場合、先ほど話した通り、釣り雑誌社的には6ft前後で紹介することが多いため、「あの人が言ってたから雑誌は嘘だ!」となるパターンが多かったりします。
ポジティブリーディングとネガティブリーディングとは?
でもさ、そうなるとどうやって雑誌の情報を活かせばいいのか、よくわかんなくなっちゃうよね
そこでおすすめしたいのは、記事や本をポジティブに読む方法。僕はこれをポジティブリーディングと呼んでいます。逆はネガティブリーディングですね。
簡単にいえば加点方式で読みましょうということ。これ釣りの記事だけでなくいろんな記事で役立つ志向なのでぜひ覚えましょう!
日本人はネガティヴリーディングが多い
基本的に日本人は人や物を評価するとき、減点方式を用いることが多いです。
女が男を評価するときも「服がダサい。顔が好みじゃない。不潔」などの減点要素を探して評価するでしょう? これ日本人に多い傾向があるんです。
というのも、減点方式は比較的評価が容易なのです。人のいいところって見つかりにくいですから。読み物に対しても同じことがいえるのです。
わかりやすいところでいえば誤字や文法ミス、内容に対する違和感など。
でも、内容はともかく誤字や文法ミスって、最低文章として読めれば情報を得る側からしたらまったく意味のない評価なんですよ。だって釣りの解説が上手い人が文法ミスや誤字が多いなんて珍しい話でもないでしょう?
なので、ネガティブに記事を読むと、得ることができるはずだった情報やテクニックを読み逃してしまう可能性があるのです。
文法ミスでイラっときちまう気持ちはわかるがな。だが、そのせいで損をするなら意味がないよな。
ポジティブリーディングが釣果をあげるわけ
でもさ、加点方式で記事を見たからといって釣果が上がるわけじゃないよね?
そうでもありません。釣果が上がる可能性はあります。詳しくポジティブリーディングの利点を解説しましょう。
戦略の幅が増える
まずポジティブリーディングは加点方式で記事を評価しようとするわけですから、記事のいい部分を探すことから始まります。ネガティブ要素……つまり減点部分はいったん無視です。
いいところを探すわけだから、自分がいいと思った釣りの戦術や道具の情報を積極的に取り入れることになります。なので読み逃しが少なくなります。
でも、アタシたちにはどれがいい部分かよくわからないよ
よくわからないものもいったん加点方式で考えておきましょう。で、実際に試してみて違うような気がする場合は修正すればいいのです。
応用が利きやすくなる
釣行記事は、ほとんどその日その場所限定の釣り方になりがち。だからプロとまったく同じ釣り方をしたからって釣れるというものでもありません。これはかの有名な村田基さんも口をすっぱくして言っています。同じように、プロと呼べる釣り師の中で「俺のやり方を真似れば釣れる」なんてことを言うことはまずありません。
ただし加点方式で記事をとらえるため「なんだこのフィールド限定じゃん」と考えるのはナンセンスです。
え? じゃあどうすればいいの?
大事なのはなぜ「この状況でプロがこの戦術がはまると判断したのか?」「どうして釣れたのか?」という観点から、どこが評価できるか考えるのです。
この時「俺ならこうする」はいったん置いておくこと。記事の文字数などの影響で書かれていないフィールドの状況を踏まえた場合、見当違いとなる可能性が存在するからです。
そうやって考察すると、その釣り人の戦術がそのまま知識として身に付きます。フィールドが別だとしても、似たような状況なら有効になる可能性が高いので応用力が身につくというわけです。
まぁ、最終的には自分の考えで釣るわけだから、「俺ならこうする」は釣り場で試せばいいだけだ。それで釣れるなら、まったく問題ない。
問題なのは、相手の考えを否定するための「俺ならこうする」だからな。
明確な嘘がわかるようになる
さっきから聞いてると、なんだか、騙されそうなとらえ方だね……。
確かに、ポジティブリーディングは相手を信用する前提の読み方です。なので相手の記事が騙そうとしているような内容なら騙されやすい考え方です。そこはデメリットともいえます。
ただ、複数の記事を読むと、どうしても別の記事で否定されるような意見が出てくることがあります。それらを総合していくと、あからさまな嘘はわかるようになります。
たとえば「アジングではFGノットが必須」という内容があったとします。現在のアジングで推奨されているのはトリプルエイトノットのショートリーダーなのは多くの釣り雑誌で語られていること。しかし、FGノットを行っている釣り人も多いことが調べていくとわかるようになります。
その理由まではわからなくても、少なくとも”必須”というのは嘘だということはわかるでしょう。
ちなみに、アジングでFGを組む利点は竿抜けがよく、ロングリーダーでもトラブルが少なく飛距離が出やすくなることが利点だ。アジングロッドのガイドは穴径が小さいから、竿抜け重視のFGはロングリーダーでは有効といえるだろう。
同時にショートリーダーが主流なアジング業界では、トリプルエイトノットが推奨されている。全部説明がつくね。
おまけ 釣り具業界の闇!? 魚の使いまわしはある?
なんか変な噂聞いたんだけど……一度釣った魚に別のルアーを付け直して、さもそのルアーで釣ったかのように演出する人がいるって……これってマジなの?
あ~……うん……まぁ「嘘、本当の話」をするなら、やっぱその話がきますよね。
僕は正直そのやり方は嫌いなため、メーカーからお願いされてもやるつもりはありませんが、やっている人がいることは否定できません。僕は直接見たことはありませんから、釣り雑誌社にいたときに噂程度に聞いたことはあります。
まぁ、それも仕方ないっちゃ仕方ないんですよ? スケジュールも決まっているのに、そのルアー必ず釣れっていうんですから。状況にマッチしていなければ釣れないのに、無理やりでも釣らないといけないんですから、テスターさんの中には付け替えでごまかす人も出てくるでしょう。
でも、それってサギじゃん!
まぁ……否定しません。僕だって詐欺といわれても仕方ないから、やりたくないって話をしているんですから。
ただ、だからってそのルアーが使えないと言い切れないのも事実なんです。基本的に状況にマッチさせられば、ちゃんとしたメーカーが出しているルアーは釣れます。メーカーだって釣ってもらうためにルアーやロッド、リールやラインを作っているわけですから、釣れない商品を作る理由はないんです。
まっ、ルアーのレビュー記事は、あくまで参考程度に読むべきってことだな
ちなみに、ポジティブリーディング的にはどういう風に受け取ればいいの?
まずは本当に釣れたと仮定して考察するでしょうね。なぜ釣れたか、どうしてそのルアーがマッチしたか。ルアー付け替えをしている場合この辺があいまいになるため、慣れてくると怪しいかどうかくらいはわかります。あと、あからさまに魚が弱っていたりしますし。
ただ、あくまで確証がある話ではないことだけはご注意を! これで批判したくなる気持ちもわかりますが、根拠があるわけではありません。
ちなみにタヌキがテスターになったとして、テストしたルアーで釣れなかった場合はどうするの?
そうですね……僕だったら、そのルアーの紹介だけに留めますかね? 釣れないなら釣れないでやりようはいくらでもありますよ。まぁ、釣果写真があるに越したことはありませんが。このルアーがどんな時に使えるかという話だけでも読者にとっては参考になります。
ぶっちゃけそういう意味では、僕はあんまりテスター向きの性格じゃないんでしょうね。ただ、読者ファーストの心は、消したくはありませんね。僕が下手だと思われるより、読者に有益な情報を届けるのが、僕にできることだと思うので。
タヌキは自他ともに認める釣り下手だからねー
知識はあっても釣りが上手いわけじゃないっていつも言い訳してるもんねー
やれやれ……さすがに情けないと思わんか?
……ぐすん。
まとめ 相手をリスペクトすることが大事
いかがでしたか?
結局のところ、一番大事なのは相手をいかにリスペクトするかなんです。そのためには疑いから入るのではなく、時には相手を盲目的に信用することも大事。
日本人は疑いから入る人が非常に多い。これはこれで警戒心が強いということではあるので、いいことではあるのですが、同時に得られたはずの技術を逃しているかもしれないという大きなデメリットもあります。
相手をリスペクトして、楽しく記事を見ることができれば、お互いのためになると思いますよ?
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