アジングライン選びのために覚えておきたい 比重の重要性

雑談・考察

アジングは今時珍しいラインの選択肢が多い釣りです。「ナイロンは論外」という声も一時期ありましたが、前ほど聞かなくなり、一長一短とされています。

しかし、「選択肢が多い=初心者は迷う」というもの。そこで大事になってくるのが比重のお話です。今回はアジングラインにおける比重の重要性について考えていきましょう。

比重とは

美穂
美穂

そもそも比重ってなんなのさ?

比重とは、ある物質の密度と、基準となる物質の密度との比を指します。比重は単位を持たないので、数字のみで表します。

美穂
美穂

もっとわかりやすく!

だいふく
だいふく

物の大きさを示すには体積が使われるのは、小学生で習ったよな? この体積あたりの重さを、同じ体積あたりの重さを比較したのが比重だ。

んで、この比重は主に水を比較対象として計算するから、水の比重を1として計算しているってわけだ。

楓

要するに比重が2なら、同じ体積の水とその物質を比較すると、重量が水の2倍になるってこと?

だいふく
だいふく

そういうこった。

ちなみに、海水は水と比重が違います。いろんなものが混ざってるからですね。だいたい1.025〜1.03と言われてます。これ割といろんなところで使える重要なことなので覚えておきましょう。

比重が大きいと沈みやすい

比重が釣りにどんな影響があるのかといえば、ルアーやラインがどのくらい沈むかという指標になります。

主なラインの比重は以下の通りです。

PEライン:0.97
ナイロンライン:1.14
エステルライン:1.38
フロロカーボンライン:1.78

楓

あ、PEラインは1より小さいんだね。って事は、PEラインは浮くって事?

正解です! それ以外のラインは基本水に沈みます。

ただ、比重による沈みやすさがそれぞれ違うので、特別ピンと張っている状態でなければ、図のように水中でたるみがある程度できることになり、比重によってたるみ方も変わってきます。

美穂
美穂

でも、鉄でできている船は浮くよね?

だいぶく
だいぶく

やれやれ……。船は内部に空間があるから、その分も計算に入れると平均比重が水より小さくなるから浮くんだ。同じように、ウキやプラグの内部に空洞があるのも同じ理由だぜ

ちなみに、プラグの中にシンキングタイプってありますけど、これは内部のシンカーの重さを調整して平均比重を1より少しだけ大きくしているんです。だからゆっくりと沈むというわけです。

比重によるラインシステムの違い

楓

各ラインの沈みやすさが違うってのはわかったけどさ。結局それが何なの? 釣りとどう関係してくるの?

ラインが浮きやすい場合の最大のデメリットは、潮や風に流されやすくなるという点。

潮に流されたライン分当然弧を描いてたるみが発生します。

基本的にラインは、ピンと張った状態で感度を最大限に発揮します。多少のたるみならアジのアタリでも感知できますが、それが大きくなれば当然手元に来るアタリも小さくなり、逃しやすくなります。

また、ラインの余計なたるみはアワセ遅れの発生要因にもつながります。フッキングでアジを掛けるためにはそれこそピンと張らないと無理なわけですから、たるみが多い分余計に巻き取ったりアワセ動作を加えなければならなくなります。

アジング以外のルアーゲームだと、タダ巻きなどがメインとなりますし、アジングよりはるかに重たいルアーを使うので、この弱点はほぼ無視でき、むしろたるみをわざと作る戦術もあります。だからPEが多くのルアーフィッシングで主力になっているのですが、アジングでは軽量リグ、しかもフォールの釣りとなるのでPE一択ということではなくなるのです。

美穂
美穂

話聞いてるとさ、PEってアジングではまったく使えないように聞こえるんだけど、でもPEはアジングでも使われるんだよね?

だいふく
だいふく

そりゃ比重だけ語ると、PEはデメリットだらけになるからな。つまり、それ以外の部分で大きなメリットがあるって事だ

それでは、各ラインのアジングにおけるメリット、デメリットをご紹介しましょう。

ナイロンライン

メリット

ナイロンラインの最大の利点は伸びることにあります。弾力性があるということは、理論上切れるだけの負荷がかかってもすぐには切れないことを指しており、実は強度もいいんです。

さらに伸びるということは、当然元に戻る力があると言うことです。アジがハリを口に加え、ラインを引っ張るとその瞬間、ラインは伸びて元の形状に戻ろうとするわけですから、その戻ろうとする力でハリをかけることができるオートマチックな釣りができるという大きな利点があります。

このことから、初心者向けラインとして語られています

デメリット

ナイロンの最大のデメリットは伸びることによる弊害です。

諸説ありますが、ラインは原則として伸びない方が感度が高いとされています。

だいぶく
だいぶく

まぁ、これに真っ向から反対している意見もあるんだがな。ただ、正直な所アタリがぼやける感じは確かにする

そうですね。「アタリが取れない」はさすがに間違いですが、個人的な意見としてはアタリの感触がわかりづらいって点はあると思います。僕はよく「アタリがぼやける」って表現してます。

また、劣化が早いのもナイロンラインのデメリットの一つ。使いこなす人は一回の釣行で数十m巻き直すそうですよ。

フロロカーボンライン

メリット

フロロカーボン最大のメリットは根ズレに強いことです。

美穂
美穂

根ズレ?

だいふく
だいふく

岩などの障害物にラインを擦り、摩擦で切れてしまうことだな

フロロカーボンはこの根ズレに非常に強い素材なので、アジングではリーダーの主力として活躍しています。

楓

メインラインとしては使われないの?

いいえ。リーダーを結ぶ必要がないことや、ナイロンよりは伸びにくく感度が高いことから、メインラインとして愛用者多いラインです。

個人的にはナイロンよりはフロロを初心者向けとしておすすめします。仮に慣れてきてメインラインをPEやエステルに変えようとした時、メインラインで使ってたフロロをそのまま使ってもいいわけですしね。

デメリット

デメリットは比重が大きすぎること。そのためPEとは逆に沈む方向でたるみが発生しがち。

流されにくさはあるので、PEよりは感度が鈍ることはありませんが、それでも糸フケが出る以上アワセの遅れや感度低下には多少なりとも影響がでます。

また、沈むということはルアーの進行方向も若干変化が起きます。上方向にチョンチョンと動かそうとしたつもりが、実際にはやや手前に動いてしまうことになるのです。

フロロって巻き癖がデメリットじゃないの?

楓

他の人からは、フロロカーボンラインは巻きグセが出やすくて、メインライン向きじゃないって聞いたんだけど、そうなの?

本来はそうです。フロロはどうしてもライン自体に硬さがあり、スプールに長時間巻いてることによる巻き癖がつきやすいですから。

しかしアジングで使う細さとなると、細さゆえのしなやかさがあるため、その影響はほとんどないです。実際、僕がフロロをメインにしてた時は、トラブルがかなり少なかったです。

むしろナイロンの方がラインの吸水率のデメリットが大きいし、アジングで釣果を伸ばすポイントである、掛けの釣りではなく、乗せの釣りになりやすいことから、僕はフロロの方を初心者に勧めています。

PEライン

メリット

PEライン最大のメリットは圧倒的な強度。撚り糸故のとんでもない強度のおかげで、ほとんどのルアーフィッシングのメインラインとして愛用されています。

実際に僕もアジングの激細ラインで、尺アジよりも大きいサイズのチヌやシーバスをPEラインで釣り上げています。

だいふく
だいふく

ラインを細くすると飛距離に影響がでることも把握しておくべきだなルアーはキャストするとラインを引っ張りながら飛んでいくわけだが、ラインが太ければその分重くなるわけだから当然抵抗も大きくなり、飛距離も落ちるってわけだ。

そうですね。それに多少なりともラインが細い方が魚にバレにくいという点もメリットとしては有名です。……まぁ正直アジングで使うような太さになると、ほとんど変わらないと思いますがね。

デメリット

PEラインのデメリットとしては、前述した通り、比重が小さいため浮いてしまうこと。浮いてしまう分余計な糸フケが発生しやすく、風や潮の流れが強い時はアタリを逃しやすくなります。

また、強度が低いことも実はデメリットです。

楓

へ? 強度が売りのPEラインの強度が低い……ってどゆこと?

単純に引っ張り合う分にはPEラインは無類の強度を誇ります。ただし、ここでいう強度は、根ズレ結束強度のお話です。

美穂
美穂

根ズレって、フロロのメリットで説明してくれた岩とかに擦れて切れることだよね?

そうです。PEラインは撚り糸のため、原糸は非常に細い繊維でできています。その影響で、擦れると原子一本一本が摩擦で切れることとなり、あっという間に切れてしまうのです。

楓

なるほどねぇ。で、結束強度って?

結束強度とは、簡単にいえば結んだ後に解けてしまいやすいかどうかということ。そのため、PEを使うアジンガーはそのままでは使わずに、フロロカーボンやナイロンをリーダーとして結んでからジグヘッドに結びます。

美穂
美穂

結束強度が低いなら、フロロやナイロンに結んでも解けちゃうんじゃない?

だいふく
だいふく

ところが、ナイロンやフロロのほうに結束強度があるから解けねぇのさ。心配ならFGノットを代表とする摩擦系ノットを使うとより確実だぜ

「デュエル The ONEアジング」のPFラインとは?

近年生まれたアジングラインで革新的だったのは、「デュエル The

ONE アジング」でしょう。このラインはPEと同じカテゴリでカウントされがちですが、実際は仕組みそのものが違うため、公式サイトではPF(ポリエチレンフュージョン)ラインとされています。

最大の違いはPEとは違い撚り糸ではなく単線であること。単線があるが故に、PEより水馴染みがよく、軽い力で沈んでいきます。

ただし比重はPEラインと同じ0.97なので、浮くのは同じ。さらに同じ号数ならPEの方が強度が高いのですが、個人的に最近お気に入りのラインです。

エステルライン

メリット

近年のアジングシーンで一番人気と言えるのはエステルラインでしょう。

人気の秘訣は比重がちょうどいいこと。沈みやすく、沈みすぎない。軽量ジグヘッドを使う上で一番ちょうどいい比重なので、水中でまっすぐになりやすく、感度が非常に高くなります。

また比重が大きいということは風や潮に流されにくいということでもあるので、多くの環境で活躍することも大きなメリットですね。

また伸びないというのも利点で、そのため感度が高いと言われています。

だいふく
だいふく

エステルは近年のアジングではかなり人気の高いラインだ。何より軽量リグとの相性が抜群なのが大きいな。

デメリット

楓

そんなに優秀なラインなら他の釣りにも使えばいいのに……

アジング以外だとトラウトかイカメタルのリグの一部にしか使われないエステルライン。その理由は、切れやすさにあります。

エステルラインは伸びないことが利点ではありますが、伸びないということは一瞬でも強度の限界まで引っ張れば、すぐに切れてしまうということでもあります。そのため、PEとは違った意味でリーダーが必要になります。

だいふく
だいふく

リーダーの正式名称はショックリーダーというが、まさにこの使い方から来ているんだ。瞬間的な引き(ショック)に耐えるため伸びるラインを使うってわけだな

よくある間違い エステルラインは特別脆いの?

美穂
美穂

エステルが切れやすいなら、フロロやナイロンを同じ細さにして使えばいいんじゃない?

だいぶく
だいぶく

……多分ぶちぶち切れるだけだぞ

親方のいう通り、エステルラインの素材であるポリエステルは、他の素材に比べて特別脆いというわけではないのです。実際僕もエステルでシーバスとかあげてますしね。

エステルが脆いというイメージがついてしまってる理由は、細糸での需要が多い上、PEのように特別強度が高くないからです。そのため、伸びること以外、フロロやナイロンとさほど強度は変わりません。

だいぶく
だいぶく

逆に言えば、太いエステルラインが出れば強度問題も解決するんだが、伸びないことによる粘り弱さは健在だし「だったらフロロかPE使うよ」ってなるのが目に見えてる。

メーカーが細いエステルしか作らないのは、まぁそんなところだろうな

まとめ 各ラインの利点を考えて選んでみよう

いかがでしたか?

各ライン利点もさまざま。その利点もしっかり把握すれば、なぜそのラインを選ぶのかもわかってきて、アジングがもっと面白くなりますよ!

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