「スピニングリールは、その構造上バックラッシュは起こさない」と書かれた本を読んだことがあります。確かにベイトリールと同じ理由のバックラッシュは起こす事はありませんが、スピニングリール特有のバックラッシュというのは存在します。
しかし、ベイトリールのように発生率が高いわけではなく、対策をすればきちんと防げるだけに教えてくれる人は少ないような気がします。特に書籍ではカットされがちです。
今回はスピニングリールのバックラッシュ回避方法と対策を覚えてみましょう。
そもそもバックラッシュ(パーマネント)とは何か?
簡単にいえば、ラインがスプールで絡まってラインが出せなくなるトラブルの事を言います。
こうなると致命的なタイムロスになるばかりか、ラインを痛める原因になったり、最悪ラインを大量に切らないといけなくなったりします。
主にベイトリールでよく発生する現象で、キャスト時にラインが出る勢いとスプールが回転する勢いの差が原因です。
ただしスピニングリールの場合は、そもそもキャスト時にスプールは回転しません。そのため多くのメディアでスピニングリールにはバックラッシュがないと言われるのです。
しかし、これをみているみなさんは、スピニングリールのスプールでバックラッシュをした経験があることかと思います。
メディアは嘘をついているの!?
メディアは嘘付きってこと!? 酷い!
楓の気持ちはわかりますが、これには少し理由があります。
各種メディアの場合、この手の話は「ライントラブル」としくくりにして語る傾向があり、バックラッシュとは表現しないところが多いのです。
特に書籍の場合、どうしても1ページに使える文字数が限られているため、スピニングリールのバックラッシュについては省略されがちです。
さらに昔はベイトリールのバックラッシュは、切っても切り離せないほど発生率が高く、スピニングリールより「バックラッシュ=ベイトリール」のイメージが強く残っています。
実際言葉で表す場合はスピニングリールでもバックラッシュ、もしくはパーマネントが正しい表現なのですが、大抵の釣りメディアはライントラブルで一緒くたにしてしまうので、直接的な原因が何か語られることが少なく、対策がわかりづらいと言った現象が生まれています。ライントラブルってバックラッシュだけじゃないですからね。
スピニングリールのバックラッシュの発生原因とは?
スピニングリールでバックラッシュが起きてしまう一番の理由は「ラインスラック(糸フケ)がある状態でラインを巻き取ってしまった」というものです。
ラインを巻き取る際には、糸をある程度張らないといけません。これが一番大事。
ラインが緩んだ状態で巻き取ってしまうと、第一段階として写真のようにスプールからラインが一本でてしまう状態ができます。
この状態を放っておくと、だんだん症状が悪化してスプールで糸が絡んでしまい、バックラッシュになるわけです。
また、スピニングリールはその構造上、糸を捻りながら巻き取られます。いわゆる糸ヨレです。
この糸ヨレがある状態かつテンションが緩んだ状態で巻き取るから、結果的にバックラッシュに発展するわけです。
糸ヨレはラインをある程度出して、つまみながら巻くとある程度とることができます。また、下のようなグッズを使う手もあります。
しかし、スピニングリールの構造上、糸ヨレについてはある程度はしかたないものです。毎回糸ヨレを治すのも面倒だし……では、どう対策すればいいのでしょうか?
まずはラインを張ること!
糸が捻れてゆるまって絡まったとしても、それだけならまだ引っ張ればまっすぐになります。バックラッシュ対策の基本原理はこれと同じです。
ポピュラーな対策はフェザーリングというもの。キャスト後、着水の直前に人差し指でスプールを抑え、ラインの過剰な放出を抑えるテクニックです。こうすれば巻き取り始めからラインのテンションが掛かった状態になります。
ただ、人差し指が届きにくいケースがあります。指が短い子供はもちろん、持ち方やクセによっても届きにくいことがあります。
例えば僕の場合、手首のスナップを効かせる際に握力が落ちすぎて、親指の腹から竿が抜け落ちてしまうクセがあります。だからって握力を入れると今度はスナップがなさ過ぎて飛ばないというね……。
フェザーリングの際、本来人差し指とスプールはほぼ直角になるのですが、僕のような状況になると、上の写真のように人差し指とスプールの角度がつきすぎて、人差し指がスプールから離れて触れられなくなります。
もし、フェザーリングがうまくできないと悩んでいる人は、上の写真のように、キャスト後左手(左利きの場合は右手)でスプールを直接抑えてください。変にフェザーリングの練習するより簡単です。
さらに僕がよくやるバックラッシュ対策は、キャストしてベイルを返した後、ロッドを立てながら巻き取ること。こうすればラインテンションが緩みすぎていても、確実にラインのテンションを掛けながら巻き取ることができます。フェザーリングができていなかったとしても、これでほとんどのバックラッシュは回避できます。
また、先ほどのバックラッシュの初期症状があらわれていたら、なるべく早めに解消しておきましょう。初期症状ならゆっくりラインを出してあげればほとんど絡まらず解消できるはずです。
まとめ 絡まってもすぐあきらめないで
バックラッシュ対策がしっかりしていれば、かなりバックラッシュを削減することができます。これはライントラブルが起きやすいとされるフロロの場合も一緒です。
ただ、万が一絡まったとしても、すぐにあきらめてラインをカットする必要はありません。ゆっくりほどいていけば、ほぼ無傷でほどけることもあります。
慌てず、トラブルを回避して、ノーストレスでアジングを楽しみましょう!
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