超能力を持っている人間以外は、普通魚と会話することができません。私の知る限り世界の99%の人間はアジと会話することができないでしょう。
ですが、予想はいくらでもできます。生物学のほとんどはあらゆる実験や観測データから生まれた極めて制度の高い推論とも言えるでしょう。
釣り人にも同じようなデータや推論が存在します。その中の一つに「ラインが太いと魚に見つかって釣れなくなる」というものがあります。実際にラインが太ければ太いほど釣りづらくなるという釣り人は多く、正解である可能性は極めて高いと言えるでしょう。
しかし、よくよく考えてみればアジが釣れない太い号数のリーダーを使って、シーバスや青物は釣れます。アジだけに限定してみても、アジングで使われる極細リーダーより太いサビキ仕掛けの釣り糸で釣れているではありませんか。
これはどういうことなのでしょうか? 今回はアジの気持ちになって「どうして細いラインが必要なのか」一緒に考えてみましょう。
この記事を読んだ後、あなたは答えのない問題に対しての考察することの重要性を知っていただけることでしょう。
魚の視力は意外といい?
一般的には魚の視力は人間より悪いとされています。アジの場合は0.12程度とされており、おそらくのび太君がメガネを外した程度の視力だと考えることができます。
ただし、これはそもそも目の構造が人間とは違うためであり、海中で生きていくうえではアジの目の方がダントツでいいと言えます。
その理由はまず目の付け所。人間の視野角は片目で約60度と言われていますが。アジはなんと片目だけで約180度。人間のようにいちいち振り返らずとも、ある程度後ろが見えるくらいに広いとされています。
その理由は、アジ達にとっては毎日がサバイバルだからと言えるでしょう。大型魚や寄生虫はもちろん、病気、空中には鳥、地上には釣り師。ウザい上司がいないだけで、天敵は人間の何倍も存在します。
そのためアジは、体の側面に目がついていて、片目だけで広い視野を確保するような体の構造になっているのです。
ちなみに体の側面にあるゼイゴという硬いやすり状のウロコは、捕食されにくくするためだ。
また、アジは色の色覚が人間より一つ多いことが判明しています。
これは海中の光は空中より複雑に変化するため、それに適応するためとされています。
ただ、アジの色覚については疑問視されている部分もあり、特にベテランアジンガ―なら疑問符がでるでしょう。
なにせアミやイソメなどの色とはかけ離れたワームを食ってるのですから。
このように釣り人は生物学者の研究データと矛盾した実証データを出すことがあります。まだまだ我々はアジの事を知らないと言えるでしょう。
アジにはラインが見えていないが、違和感を感じている可能性は高い
では実際アジはラインが見えているのか? と言えば大半は見えていないと考えることができます。じゃなきゃグレなどを狙うフカセ釣りでアジがゲストとして食ってくるわけがありません。
ただし、違和感を感じている可能性は高いでしょう。
その理由はリーダーと海水の光の屈折率の違い。
屈折率とは、物質中での光の進みやすさを表す数値です。海中にラインがあるとき、海水とラインの屈折率が近いほど、光を反射しづらく目立たないとされています。
海水は1.34。一番屈折率が海水に近いフロロカーボンは1.42とされています。
つまり、魚目線で考えると、フロロカーボンでもたまにラインが光る現象が発生しているという事になります。経験豊富な成長したアジほど、この違和感を見抜き「なんか知らんが、あんなふうに海中が光ったら罠かも」と警戒するわけです。
とはいえ、前述した通りアジの視力は0.12程度。太糸ならともかくアジングで使うような細いリーダーではまず見切ることはできないでしょう。
さらに見にくくするために、あえて色付きのものを使用するラインもあります。
この手で最近有名になったのはデュエルの魚に見えないピンクフロロ。リーダーにあえてピンクのカラーを加えることによって、魚から見える色の波長をカット。人には見えるけど魚には見えないリーダーとして大注目のアイテムです。
シーバスや青物が太糸を見分けられない理由は?
しかし、そう考えるとおかしなことになります。アジングで使うリーダーは太くとも1号程度。ちなみに僕は0.8号を普段使います。
しかし、シーバスや青物はもっと太いリーダー、大体1.5号くらいを使います。もちろん、その理由は0.8ではあっという間にブチぎられるからですが、どうしてシーバスや青物は太いリーダーを見分けらないのにアジは見分けられるのでしょう?
このポイントが今回の題材である「考察」のポイントです。
考察をすることで、釣果は格段に上がる!
釣りにはたまにこういった「はっきりと理由がわかっていない問題」があります。先ほど少し触れたカラーもそのうちの一つです。
これを考察していくことも釣果を上げる大事なコツ。最初は漠然と「こういうもん」と従っていてもいいですが、そこからのステップアップは自分なりの考察を加えて試すことが必要になります。
そうすると自分なりの釣れる理論が組み上がって行きます。
プロはこの試した考察の数が莫大で、大量の理論があり、だから釣れるわけです。
ただ「初心者のためにも解説しろ」と言われても難しい話です。だって確証はないし。後から間違えてたというのも恥ずかしいものですから。
そうなると、「確実に正解と言える理論」ばかりが解説として上がってきます。これは釣り雑誌や総合釣りサイトになるほど顕著に現れます。
プロの中には「俺の釣果が証明だ!」というスタイルで強気に自分の理論を解説する人もいます。それでも確証がない部分は解説を避けます。
考察、実験をすることで、自分なりの爆釣パターンを見つけてみましょう。
ちなみに先ほどの問いですが、僕の考察は魚のサイズによるものだと考えています。人間でも子供の視線では気付くことがあっても、大人は気付けないことがあります。
シーバスのようなサイズからすれば、1.5号のラインも、0.8号の細糸も変わらないのかもしれません。
サビキはコマセがポイントか?
ではサビキの場合はどうでしょう?
まずはサビキとアジングのラインをおさらいしてみましょう。
アジング:エステル、PEライン0.4号以下 リーダー0.6~0.8号
サビキ:ナイロンライン3号前後 ハリス(リーダー)1~2号
やはりサビキの方が太いラインを使っています。ハリス(アジングでいうところのリーダー)はシーバスと同じくらい。この主な理由はサビキがアジだけを狙っているわけではないこと。さらに一匹だけでなく数匹まとめて釣ることも考えると、太くするのは当然と言えます。
ですが今回のテーマはあくまで「アジにラインが見えるか」なので、そこに注目して考察しましょう。
その場合、サビキの場合はコマセによる濁りが原因と考えられます。
サビキはコマセによる集魚効果で釣るために仕掛けとコマセの同調が重要とされています。このコマセにラインを隠す能力もあるのだとしたら太いラインを使っても大丈夫な理由になりそうです。
まとめ 調べてもわからないことは考察で解決してみよう!
今回お話したことは明確な根拠があるわけではありません。ですが、理由としてはスジが通っているはずです。
これを応用すると「今日は少し濁ってるからリーダーは太め、ワームカラーは目立つ色にしようかな?」だったり「アベレージが小さいエリアだからリーダーは細めの方がいいかな?」とかいろんな判断ができるようになるわけです。もしこの考察が外れていたとしても「悩む時間の短縮」には繋がるので、決して無駄にはなりません。
前述した通り、「アジングで細糸が使われる理由」以外にも、釣りにおいてこの手の問題というのはいくらでもあります。ですが考察、実験をすることで、自分で納得できる答えが生まれ、より確実な道具選びの基準となるわけです。
ということで今回の重要ポイントはここになります。
・ライン選びにも理由がある。
・アジングで使われるラインは極細。
・答えがない問題は考察することでアジを深く理解しよう。
・自分で考え、答えを出すことが何より大事‼︎
このブログではたまに今回のような答えのない問題に対しての考察記事を上げようと思っています。
正解はありませんので、自分なりに答えを出して、釣果を出すきっかけにしてみてください。
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